「問われる大人の責任と行動」地球の未来へ若者の声を生かしたい

【J8サミット】
 若者らしい斬新な発想とアイデアに満ちた「宣言」だ。この力強いメッセージをまとめ上げた世界15カ国39人の若きリーダーたちに心から敬意を表したい。
 北海道洞爺湖サミット(G8)に並行して、1日から10日まで、ユニセフ(国連児童基金)と日本政府が主催する「J8(ジュニア・エイト)サミット」が北海道千歳市支笏湖周辺で開催された。
 J8は、「G8で取り上げられる国際問題はそのまま世界の子どもたちに重要な影響を及ぼす」との認識に立って、2005年にスタートした。毎回、議論の成果は「J8共同声明」としてまとめられ、G8会期中に首脳陣に提出されてきた。
 4回目となる今年(2008年)は、G8各国に加え、コートジボワールイラク、モンゴル、南アフリカなど途上7カ国からも代表が参加した。テーマは「気候変動」「貧困と開発」「国際保健」の三つ。全体会議やグループ討論など、子どもたちは連日、熱い議論を交わし、「よりよい世界の実現」を誓う共同声明「J8千歳宣言」をまとめ上げた。
 G8サミットの初日に福田康夫首相ら各国首脳陣に提出された宣言には、(1)学校や社会におけるピア・エデュケーション(若者同士で学び合う環境教育)の展開(2)先進国と途上国の若者によるフォーラムの開催と常態化(3)国際保健問題に携わる大使に若者を任命するなど若者主導の活動への支援――など斬新な政策提言がずらりと並ぶ。
 「G8首脳は若者の声を聞く義務がある」「若者の考えを言葉だけではなく行動で実現を」といったストレートな要求や、「そのために私たちも、私たちの考えを『今』実行し、未来へ引き継いでいきたい」との力強い決意も頼もしい限りだ。39人の英知と労苦に、重ねて敬意と感謝の意を表したい。

[初の行動計画策定も]
 宣言提出後、39人は新たな試みにも挑んだ。「宣言のフォローアップが重要」との認識の下、「若者のアクションプラン」を初めて作成し、世界の若者たちに発信したことだ。そこには、J8代表によるニュースレターの定期的発行や、世界中の若者によるブログやネット・サイトを通じた情報の共有など、「若者にアクションを起こさせるための革新的で創造的な方法」が網羅されている。
 各国政府は、若者たちのこの野心的な試みに誠意をもって応えてほしいと願う。
 期間中、39人は地元中高校生やアイヌの人々との交流も深めた。互いにポスト・カードを交換し友情の輪も広げた。その光景に、「よりよい世界はきっと実現できる。要は、彼ら彼女たちを応援する立場にある私たち大人の行動が問われているのだ」とは、日本ユニセフ協会アグネス・チャン大使である。
 大人の行動――。宣言で、アクションプランで、そして地元の人たちとの交流で、J8メンバーたちが大人社会に問い掛けたこの言葉を噛みしめたい。

(公明新聞:7月11日)