核兵器廃絶は世界の要請

日本は核保有国動かす使命果たせ

原爆の日    

 広島に原爆が投下されて、きょう8月6日で63年を数えた。3日後の9日には、長崎への原爆投下の日を迎える。

 本日午前8時から広島市で開催される平和記念式典には、同市が招待状を送った144カ国・地域のうち、過去最高の55カ国が参加。このうち、核保有国ではロシアと中国が参加を予定し、中国は初参加となる。

 広島市秋葉忠利市長は、式典で読み上げる平和宣言のなかで、日本政府が毎年国連に提出している核廃絶決議が昨年秋、過去14年間で最多の170カ国に上る支持(反対は米国、インド、北朝鮮の3カ国だけ)を得たことに言及し、「核廃絶を求める声は世界の多数派だ」と表明するという。

 かつてない式典参加国数や、核廃絶決議の支持数は、被爆者をはじめ、多くの市民や団体による“草の根運動”が、「核は絶対悪」の思想を着実に世界に広めてきた証左といえよう。

 1982年に荒木武・広島市長(当時)の呼び掛けにより設立された平和市長会議(核廃絶運動を促進する世界各国の都市で構成されるNGO)の加盟都市数も急増し、131カ国・地域、2368都市(8月1日現在)に上っている。

 しかし一方で、世界の核軍縮が進まない現実にも目を向けなければいけない。

 インド、パキスタンイスラエルの3国は、国際的な枠組みである核拡散防止条約(NPT)に未加盟のまま核保有国ないし疑惑国に。北朝鮮は2003年にNPTからの脱退を表明。その後、核兵器保有を宣言し、核弾頭搭載可能なミサイルを発射する暴挙にまで出た。イランはNPT加盟国としての、核開発の権利を堂々と主張している。

 また、核軍縮の責務を負う既存の核保有国も、その責務を真面目に遂行しているとは言い難い。米国は世界最大数の核弾頭を保有し続け、地下貫通型核兵器の実用化研究まで行っている。まさに、NPT体制は形骸化の危機にあるといえる。


被爆の実態を世界に

 世界で唯一の被爆国である日本は、NPT体制の立て直し、核廃絶への大きな使命を担っていることを改めて認識したい。米国では今なお、原爆投下を「終戦を早め、多くの日本人を救った」とする考え方が一般的という。被爆者の実態もほとんど知られていない。

 その点、今年(2008年)9月に、広島市で日本で初めて主要国(G8)下院議長会議が開かれ、米国など核保有国の立法府の長が被爆地を初訪問するのは、被爆の悲惨さ、非人道性を直接訴える絶好の機会となるに違いない。

 かつて核抑止論を唱えていた米国のキッシンジャー、シュルツ両元国務長官ら外交専門家4人が核廃絶の提案を発表したのは昨年(2007年)1月だった。

 核保有国を動かすことも決して不可能ではない。被爆者の心をわが心とし、核廃絶を必ず実現することを誓う「原爆の日」にしたい。

(公明新聞:8月6日)

中学校の修学旅行で広島に行きました。原爆資料館の見学の後に昼食だったんですが、ほとんど喉を通らなかったのを覚えています。それまで原爆投下の事実は知ってはいたものの、これほど凄惨なものだったとは思いませんでした。毎年思い出してしまいます。
原爆の投下により、多くの尊い命が一瞬にして奪われました。心よりご冥福をお祈りいたします。また、現在も被爆の後遺症に苦しまれている方々に心よりお見舞い申し上げます。
「戦争ほど残酷なものはない、戦争ほど悲惨なものはない」
私は「戦争を知らない世代」ではありますが、その事実をしっかり見つめ、なにが「悪」なのかを後世に伝えていける一人となってまいります。