行政の信頼回復へ法制化を

後を絶たない裏金のプールを撲滅

不正経理防止法

 国や地方の公務員が取引業者などと組織ぐるみで不正な経理処理を行い、裏金をプールする不正経理問題が後を絶たない。

 今年に入って不正経理が発覚した組織は、農林水産省横浜市、神奈川と千葉の両県警察本部などだ。いずれも裏金の私的流用はないとされるが、裏金づくりの常態化を如実に示すものであり、断じて批判は免れない。

 裏金づくりは行政に対する信頼を著しく傷つける行為だ。財政事情から公共サービスの見直しが危惧される中で、国民は繰り返される不正経理に強い憤りを感じている。

 かつて不正経理が行われていた自治体の幹部職員は「他にも不適切支出があれば、申し出てほしい。裸になって県民の前に立たなければ、信頼を取り戻すことができない」と訴えた。問題を起こした組織が自浄能力を発揮して真相を解明し、国民に対する説明責任を果たすべきことは言うまでもない。

 こうした不正経理問題に対し、公明党の荒木きよひろ氏は4日の参院決算委員会で、繰り返される裏金づくりにどう再発防止策をとるかが重要とした上で、「抑止力が働いていない。しっかりと、くさびを打たないといけない」と力説し、不正経理防止法の制定を急ぐよう主張した。

 これまで公明党は、公務員による裏金づくりの再発防止には法制化が欠かせないとの立場から、昨年の通常国会臨時国会に2度、自民党との共同提案で不正経理防止法案を提出しているが、残念ながら、いずれも審議未了で廃案となっている。

 公明党がめざす法制化のポイントは、公務員が取引先などの相手に虚偽の請求書を要求する行為に対して「罰則」を設けることだ。

 不正経理問題の背後には、裏金づくりの事実があっても私的流用が立証できなければ処罰されないという現在の刑法上の限界がある。そのため、裏金づくりにかかわった者の責任の追及は十分になされていないのが実際の姿だ。そこで、法制化によって不正経理を行った公務員の責任を問う姿勢を打ち出すことが欠かせない。罰則規定が、そのまま裏金づくりの抑止力となるからだ。

 また、不正経理が横行する要因の一つとして、年度内の予算消化を急ぐ行政の体質も挙げられる。法制化で、こうした行政の体質も改善され、予算執行に対する新たな規範意識の構築につながることが期待される。

公明、先頭に立ち推進

 荒木氏の主張に対し鳩山首相は「不正経理が野放しにされない状況を早くつくるべきだ」と強調し、「立法化を検討していくべきだ。各党で一つの法案にまとめる作業をしたほうがよい」と応じた。

 不正経理防止法の制定は行政に対する不信を払拭するため、与野党一丸となって取り組むべき課題である。

 公明党は、その先頭に立って早期法制化を推進していく。
(公明新聞:2月15日)