ある著書を読んで

この度、ある著者の本を購入し読んでみた。
著者は現在もお付き合いのある方なので、お名前は伏せるが(と言ってもわかる人には分かりますわな)、お金を払って購入したので、ちゃんと感想を書いておきたい。
ご本人も出した以上は読み手がどんな感想を抱いたのか知りたいところだろう。
また、今後も執筆活動をお続けになるなら著書に対しての批評はあるものと考えていただきたい。

まず売り方は今後、考えるべきだろう。買い手は読みたいからこそ買うわけで、付き合いで買う訳ではない。
読むにしても、最初の印象が悪ければ伝えたいことも伝わらない。
それでも文章力があれば、最初の印象がどうあれ、読み手を引き込むことが出来るだろう。

さて内容は行政、政治活動に長年携わって来られたことをエピソードを通して紹介されている。
首長として様々な課題に取組まれた事、県議として、また市議として人との関わりなど、その時折々の所感を交えながら書かれている。
これは弥富の近代歴史を知る上では大変参考になる。

終盤には現在の世相に関して、福祉、教育、産業、原子力問題、エネルギー問題など、ご自身の考え方を通して書かれている。
様々、政策の提案なども書かれてはいるが、正直、良いとも悪いとも取れず、現在もそのメリット、デメリットのバランスを計る机上の議論が繰り返されていることばかり。目新しい、斬新な印象は受けなかった。

著者は現職の議員でもあるわけで、諸問題に対して主観ばかりでなく、長く為政者として務めて来られた知識と経験を生かし、結論をだすのではなく、肝に迫った問題提起などしていただければ良かったかかもしれない。
教育に関して力を入れておられたようだが、強い偏りを感じた。どこがどういう風にということは長くなるので差し控えておく。

著者には私が逆立ちしても得ることが出来ない経験と知識をお持ちだ。
好きではないが、決して嫌いではない。むしろ実績もおありだし、永年のご功労には感謝しているし尊敬もしている。現在もそういう思いで接しているつもりだ。

この著書を読んで、著者の人物像、価値観は更に良くわかった。
だから敢えて言うなら、参考にしろと言われるなら「結論ありき」の議論ではなく「考え方にはこれだけも範囲があるぞ。経験からはこうだったが、もっとこうすれば違った効果もあるかもしれない…」と言ったように、偏見を打ち破る術をご教示いただきたいたいと切に思う。