なぜ議会改革は進まないのか・JIAMセミナーを受講して③

「議会改革」とは何なのか?
なぜ「議会改革」が必要なのか? 一応、完結?

地方分権の時代、住民自治が進んできました。そして今や地方創生の時代。
共通の問題としては少子高齢化出生率の伸び悩み、都市部への人口流出も含む人口減少問題、地域格差等々あります。

郊外の街が都市化するような、そんな極端なことではなく、その地域の特性や個性、ポテンシャルを最大限に活かし、何よりもその地に住む人々が活き活きと暮らせる街づくりを進めていく事が目的だと思います。

地方は基本的に、その地の産業や住民からの税収によって支えられています。
人口が減少すれば産業も衰退します。また逆に産業が衰退すれば雇用を失うことになり、人口は減少していきます。またこれには人口の構成バランスも関係しています。
弥富市にとって、どういったことが理想なのか。その理想の実現のためには何をすれば良いのか。福祉、産業、居住環境等の個々の課題がありますが、その課題を如何に克服、または改善していくのか。

「地方版総合戦略」の策定が進められておりますが、ここに議会はどういう役割を果たすべきなのでしょうか?

現在、弥富市では有識者をはじめ、地元の銀行や商工会、教育関係者、商工会など、所謂、産・民・官・学・金・労の代表者で策定委員会を設置し協議を進めています。

これまでの弥富市議会では、度々「弥富市の地方創生」「総合戦略」について各議員から執行部の取組について質問はされています。私も先進事例を紹介しながら数々提案してきました。
しかし、地元産業や住民の意見などを、本来代弁すべきは議会であるはずです。
議案として提出されたものを審議する際でも、それがあって、はじめて実のある議論が出来ると思うんです。

市の未来を左右する重要な案件なのに、議会として議論する場を設けないのは、議事議決機関の責任を担う議会として、自覚の欠如と言わざるを得ません。

議員個々が質問の内容の優劣を競ったり(これはある意味良いのかもしれませんが・・・)また、それを妬んで足の引っ張り合いをしたりしている場合ではないのです。

今回のセミナーでは、先進市事例として岐阜県可児市と北海道芽室町の取組が紹介されました。両議会とも「改革」すべき課題を共有するところから取組が始まっています。

先のアンケートの結果にもあった通り「議会は何をしているかわからない」「なくてもよい」などの声が聞こえる背景には、議会の透明性、情報の公開が極めて不十分だったことが一因していると思います。
また報道などから伝えられる地方議会の不祥事などが、議会への不信、無関心に拍車をかけています。
「報酬を下げろ」「定数を削減せよ」などの声は、効率的、または行財政的な課題があるのも事実ではありますが、それよりも「議会が議会としての仕事をしていない」「不十分だ」との意味の方が強いのではと受け止めています。

何が課題となり、どう議論が進められ、どういう結果になり、市民生活がどう変わるのか・・・。これをいかに、日常生活をおくる市民に伝え、また民意に応えていくのか。そして市政の発展にどう繋げていくのか。

弥富市議会の議員の中には、個々に市政報告会を催したり、自治会の集会などで意見交換をされている方もおられます。それはそれで良い事だと思います。
しかし、議会がまとまっていない中で、支持支援団体や地域に固執した活動を繰り返せば、それは無用な分断を生むことにもなるのではと思うんです。

地域の代表としての議員を否定はしません。弥富市自体、地域性の強い地域ですし、顔の見える、身近で信頼できる人物を推薦するのはごく自然なことだと思います。また反対に、選出する議員が住んでる地域の信頼さえ得られない様では話になりません。
ただ、ひたすら我田引水に走ったり、手柄主義のようになってしまえば、地域の課題を持ちより、その課題を市全体の問題として議論する本当の議会の役割は、いつまで経っても果たせないと思います。

議員の任期は4年ですが、その最後の1年は次の選挙を意識した活動になり、議会としての活動、それさえも「やってます」的で、議会改革も表面的な、まるでアリバイ作りのようで、真剣みがありません。

本日(11月20日)も議会改革協議会が開催されました。
協議の内容は、委員会報酬の削減と、改選後の議会人事、任期の申し送り事項の確認が議題でしたが、「そんなことは改選後の議会にまかせればよい」との風潮で真剣な議論にならず、1時間少々で閉会しました。

1期務める、2期務める、3期、4期・・・と務める。
改選を挟み、複数の期数を重ねるのは、それはすごい事だと思います。しかし、期数を重ねるということは、同時に責任が重いと受け取るべきではないでしょうか。

改選ごとに議員の人員の入れ替わりはあっても、「議会」としての組織、役割は変わらないはずです。たまたま、現議員を務めているのであって、改革によって変更された、また追加された事項は、キチッと次を担う議会にも伝えていかなければなりません。仮に停滞があっても「後退」はさせてはなりません。

少し愚痴っぽくなってしまいましたがブログなんでお許しを^^;

話を元に戻しますが、セミナーで紹介された両議会の取組で、特筆すべきは可児市議会の「地域課題可決型キャリア教育支援」です。様々な議会活動の改革を進めて行く中で、いかに市民と行政を身近なものに繋げていくか、議会としての役割を具現化したもので、身震いするほど感動しました。

これは、「学校と地域の連携・協働による教育活動を通じた地域振興・再生の在り方について」をテーマに岐阜県立可児高校が取り組んでいたもので、地域の課題を各種ボランテイア団体やコミュニティ、諸団体や諸機関など大人と学生がともに意見交換しながら進めて行く試みです。
学生たちは、この事業を通し、コミュニティから、郷土の産業、歴史文化、人との関わり、社会の成り立ちを知り、彼らが普段から授業で学ぶ事柄もそれに繋がっていく事を肌で感じるという画期的な取り組みです。

ここに議会改革を進めていた可児市議会が強力に支援し、学生議会の開催や、NPOとの連携、異業種懇談会、現場社会で働く大人と学生との交流を推進しています。

学生たちにとっては、地元可児市の魅力を知る場になり、働きながら地元地域のコミュニティにも真剣に取り組む大人たちの姿を見て、地域への愛着を生み、また将来の展望、目標がより明確となって、学習にもより身が入るようになったそうです。

また大人側のほうでも、積極的に若者支援に取り組む企業や、若い視点での柔軟な発想がカンフル剤となっているそうです。
市議会もまた「繫ぐ」事業を強力に推進していることで、住民をはじめ各種団体との接点ができ、若い世代の考え方、企業側とのマッチングなど、政策や提言への反映ができ、若い方から団体や企業にも身近な議会として認知されるようになっているそうです。

こういう活動を多くの市民が知ることとなり、議会報告会などでも批判的な意見は出ず、建設的な意見交換が出来ているそうです。

「議会改革」はこういった本当の議会としての役割を果たすための手段に過ぎません。しかし、これを成しえるためには「何が問題なのか」「議会のあるべき姿とは」という事を、課題を共有することが最初の一歩だと思います。

完結とは書きましたが、まだまだ続きそうです・・・^^;