安全・安心 大きく前進

山口那津男政務調査会長
自公政権合意」で山口政調会長に聞く
経済再生、ムダ一掃を断行
暮らせる年金の実現若者雇用で給付金も

自民、公明両党は23日、「連立政権合意」を交わし、連立政権の継続を確認しました。そこで、政権合意に反映された公明党の主張などについて、山口那津男政務調査会長に聞きました。


公明党の主張が随所に反映


 ――今回の政権協議にどう臨みましたか。

 山口 公明党は今回、「生活を守る」政治の観点から、事前に(1)経済の立て直しと構造改革の推進(2)国民の安全と安心を守る(3)行政改革・ムダゼロの推進――などの基本姿勢をまとめ、交渉に臨みました。その結果、自公両党は、連立政権発足以来の合意を尊重することを確認した上で、重要な政策課題について、公明党の主張を反映する形で19項目の合意を交わしました。

 ――「経済の立て直し」で盛り込まれた公明党の主張は。

 山口 これは8月29日に政府・与党で「安心実現のための緊急総合対策」を発表していますので、これに盛り込まれた「定額減税」などを含む諸施策を着実に実行することを確認しました。

 ――社会保障など、「国民の安全・安心を守る」政策では。

 山口 年金については、「無年金・低年金対策の充実を図る」として、公明党が主張した「受給資格期間の短縮や追納期間の延長」も例示しました。基礎年金を上積みする加算制度の創設は、将来の課題として「暮らせる年金の実現を目指す」との表現でその趣旨を盛り込みました。

 医療では、長寿医療制度の見直しについて「高齢者の心情に配慮し、法律に規定してある5年後見直しを前倒しして、より良い制度に改善する」ことで合意。介護では介護人材の確保・定着のため、介護従事者の「処遇改善」を明記しました。

 また、雇用では、職業訓練中の若者への「給付金制度」の創設を明記。生活に憂いなく職業訓練に集中できるよう給付金を支給して就職を支援します。

 教育では、「奨学金制度の拡充や幼児教育の無償化の検討」を明記し、具体的に「幼稚園・保育所認定こども園にかかる保護者負担の軽減を図る」と“負担軽減”を明確に規定しました。

 ――「行政改革・ムダゼロ」では。

 山口 行革では「隗より始めよ」で、国会議員が率先垂範で姿勢を示すため、「国会議員の歳費の削減」の検討も盛り込みました。ムダゼロでは、具体例として「タクシーチケット、レクリエーション経費、広報経費」などを挙げ、全省庁の行政管理経費の大幅削減を断行します。

 ――ほかには。

 山口 道州制基本法制定のための内閣への検討機関設置、「がん死20%削減」や「食料自給率50%」達成への取り組み、太陽光発電世界一の座の奪還への具体策も反映されました。

 8月29日の「緊急総合対策」を第1弾とすれば、今回の「政権合意」が第2弾、近々発表する「公明党マニフェスト2008」が第3弾です。これらの政策を掲げ、公明党は「生活を守る」政治実現に、全力で戦っていきます。

長寿医療 廃止なら7割が負担増
「改善」へ前倒しで議論

 ――長寿医療制度について、政権協議の前に舛添要一厚労相から「大胆に見直すべきだ」との発言がありましたが。

 山口 厚労相の発言は、制度を「廃止」するものではありません。現行制度により7割以上の方の保険料が安くなっていますから、野党が主張するように「廃止」して元に戻せば、負担が増えてしまいます。それは断じて認められません。

 厚労相の発言について、22日に直接真意を確認しました。その際、厚労相は「現在の高齢者医療制度は10年もの議論を尽くした末にまとまったものであり、国民の皆さまに、しっかりと制度を理解していただくことが基本だ」との考えで、まずは、現行制度に基づいて、都道府県の広域連合や市町村とともに粛々と制度の運営を進めることが必要だとの認識でした。10月の保険料の支払いについても、既に与党で手を打ち、「年金天引き」か「口座振替」かを選択ができるように改善していますので、その周知徹底に全力を尽くす考えを確認しました。

 ――では、厚労相の見直し発言の真意は。

 山口 長寿医療制度について厚労相は「法律でも5年後の見直し規定があるが、漫然と5年間待つのでなく、よりよい制度に改善するために議論を前倒しして行っていく必要がある」との考えです。私もそれは当然のことだと受け止めました。

 その上で厚労相は、制度の理解が進まない部分を改善していくために、(1)年齢のみで対象者を区分しない(2)年金からの保険料天引きを強制しない(3)現役世代と高齢者の世代間の争いを助長しない仕組みに――などの論点を示されたわけです。

 「年齢で区分しない」というのは、例えば75歳以上でも現役で元気に働いている方は、会社の健康保険組合に残ることも選べるように検討してはどうかということです。

 いずれにしても、今後1年以上かけて議論したいとのことでしたので、「よりよい制度に改善する」ことを合意に明記しました。

 ――今後の議論は。

 山口 制度の発足当初、長寿者の方への説明が不足し、理解を得られなかった反省もありますから、現行制度を運営しつつ、長寿者の心情に深く配慮し、合意できる改善点があれば、速やかに実行していきます。
(公明新聞:9月26日)