定額給付金に関する質疑(要旨)

衆院予算委での北側幹事長

8日の衆院予算委員会北側一雄幹事長が行った定額給付金に関する質問と政府答弁の要旨は、次の通り。

 
北側 
定額給付金は当初、定額減税としていたが、目的は二つある。一つは、景気が後退する中での生活支援。もう一つは、景気の下支えだ。

 10月30日の「生活対策」で、定額減税から定額給付金に変更した。定額減税は、非課税世帯に効果が及ばない。また、所得税と住民税は減税時期が異なることから、定額給付金とした。

 与党は「給付付き税額控除」も議論した。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどで実施している。税額控除の効果が及ばない世帯に給付するものだ。これに対し、定額給付金は、給付付き税額控除を先取りした形になっている。

 与党税制改正大綱や中期プログラムにも、給付付き税額控除の検討を明記している。給付金とした理由、また、給付付き税額控除制度との関係は、この理解で良いか。

 
与謝野馨経済財政政策担当相 
指摘の通りだ。もともとは物価高騰で、生活支援が必要な方のために定額減税を検討した。しかし、課税最低限以下の方に恩恵がないなどから、給付とした。世界各国で実施している制度に近いものだ。所得制限を設けない理由は、実務上の問題からだ。

 
北側 
定額給付金の意義は二つある。第1に、定額減税や給付付き税額控除の理念に基づき、基本は減税の考えだ。定額給付金でなく定額還付金と言った方が良かったかと思う。第2に、実体経済が悪化している局面では、内需の柱である個人消費に刺激を与え、景気の下支えが重要だ。定額給付金は、経済対策の重要な柱である。

 定額給付金の目的や意義を改めて確認したい。

 
麻生太郎首相 
指摘の通り、最初はインフレになり、猛烈な不況になるとの前提だったが、情勢は大きく変わった。この状況を打破するために、個人消費の喚起は、景気回復の大きな要素だ。持続的な経済成長のきっかけとしても効果がある。

 
北側 
民主党は、党税制改正大綱案に、給付付き税額控除を提案している。なぜ、ここまで反対するのか理解できない。

 
社民党は、3兆円の定額減税を言っている。格差是正を掲げる社民党の理念からすれば、定額給付金に賛成してもおかしくないはずだ。

 
先日、民主党幹部は経済効果のない理由を話していたが、経済情勢が厳しい中での庶民の生活実態を理解していないと思った。

 
賃金の減少局面では、可処分所得が減り、貯蓄を切り崩さなければならない。内閣府の調査によれば、家計の貯蓄率は、過去最低に落ち込んでいる。また、日本総研エコノミストは「このような所得や雇用環境が悪化している経済情勢の中では、給付金はほぼ全額消費に回る」と発言している。

 
経済効果と、民主党幹部の発言をどのように理解するか。

 
与謝野 
日本のGDP(国内総生産)は500兆円あり、2兆円をすべて消費すると、0.4%の有効需要を創出する。地域振興券による新たな需要は、4割程度であることから、内閣府は、経済効果として0.2%としている。

また、GDP500兆円のうち、個人消費は60%、すなわち300兆円を占める。その中の2兆円であり、個人消費の押し上げ効果は0.7%と計算した。

また、高くない所得の方が給付金を受け取った場合、消費する可能性は、貯蓄よりはるかに高いというのが自然な考え方だ。

 
北側 
定額給付金には「ほかに使えばいいだろう」という批判がある。定額給付金は今回の75兆円の経済対策の中の一つであり、さまざまな対策の一つである。

また「将来の消費税増税とセット」という批判があるが、的外れだ。定額給付金は臨時であり、特例的な措置として、現下の経済情勢を踏まえて実施する。将来の税制抜本改革とは連動しない。

また、定額給付金の財源は、赤字公債ではない。特別会計財政投融資特会の金利変動準備金だ。消費税の増税とセットではない。

定額給付金の実施に併せ、地方自治体で独自の取り組みを考えているところがある。例えば、長崎県佐世保市は、定額給付金を地元の消費拡大につなげたいことから、商店街などと協力し、地域クーポン佐世保振興券を発行する計画を発表した。

また、55の自治体で、定額給付金とは別に、いろいろなクーポン券を商店街振興のために発行している。そうした取り組みと連動しながら、定額給付金を消費に回してもらいたい。そのための知恵が自治体で出てくると思うが、総務省として応援してほしい。

 
鳩山邦夫総務相 
佐世保は典型的な例だ。佐賀県は、県知事が中心となり皆でアイデアを出し、消費拡大のための会議をしている。東京都中央区では、ハッピー買い物券を4億円発行し、4億4000万円分の買い物ができる。その4000万円分は区が全部負担している。私どもの方から自治体に事例を発信し、消費拡大に結びつけたいと思っている。
(公明新聞:1月9日)

ついでに言えば、国民新党も昨年のはじめに定率減税をうたっていた。特会を財源にしたことも本来は大きなニュースだ。マスコミは完全にスルーだけど。