09年度予算が衆院通過

年度内成立が確実に
幅広い景気対策
雇用、中小企業支援など拡充

事業規模で37兆円に上る2009年度予算案と税制改正法案などの関連法案が27日の衆院本会議に緊急上程され、与党の賛成多数で可決、直ちに参院に送付された。憲法の規定により予算案は参院送付後30日で自然成立することから、予算案の年度内成立が確実になった。これで、「100年に一度」の経済危機に切れ目なく対応するために政府・与党が打ち出す総額75兆円規模の景気対策を実行する環境が整ったことになる。これに先立ち、予算案は同日の衆院予算委員会で与党の賛成多数で可決。関連法案も財務金融、総務の両委員会で可決された。

 本会議で、公明党江田康幸氏は予算案などに賛成の立場から討論に立ち、「国民生活を守るための施策を大胆に実行するための重要な予算」と訴える一方、「政局第一」で審議引き延ばしに終始する民主党など野党の対応を厳しく批判した。

 09年度予算案は一般会計総額で88兆5480億円と過去最大。政策実行の裏付けとなる一般歳出は国債費などを除いて51兆7300億円。税制改正では、総額1兆円規模の減税を断行し、幅広く景気刺激策を講じる。

 深刻さを増す雇用対策として、雇用保険の非正規雇用者への適用範囲を拡大するほか、保険料を引き下げる。雇用創出を図るため地方交付税も増額する。

 また子育て支援として、出産育児一時金を10月以降42万円に引き上げ。経済波及効果の大きい住宅購入を支援するため、住宅ローン減税は過去最大規模に拡充。住宅用太陽光発電の導入促進に向けた補助金を新たに201億円計上した。

 中小企業支援では法人税の軽減税率を18%に引き下げるほか、欠損金の繰り戻し還付が復活。地域の底力発揮へ地域活力基盤創造交付金も創設する。

 一方、同日午前に開かれた予算委で賛成討論に立った公明党池坊保子さんは、予算案は「政府・与党がまとめた総額75兆円に上る景気対策の重要な柱」と主張。さらに、厳しい雇用状況に対応した施策や、環境対策、子育て支援策が盛り込まれていることに触れ、「未曾有の経済危機に向かい、生活の安心・安全を確保するために不可欠なもの」と力説した。

 採決に先立ち行われた麻生首相と全閣僚が出席した締めくくり総括質疑では、公明党富田茂之氏が質問。

 富田氏は中小・小規模企業の年度末の資金繰り対策について、現場から強い要請が出ていることを踏まえ、「業績の悪化を補完する工夫が必要だ」と指摘し、政府にきめ細かな対応を求めた。

 二階俊博経済産業相は、中小・小規模企業が苦境を乗り越えるため、政府の資金繰り対策の趣旨を十分に理解して対応するよう、金融機関に改めて要請する考えを示した。

 同日の財金委では石井啓一氏、総務委では谷口隆義氏がそれぞれ賛成討論を行った。


連続的に景気てこ入れ  太田代表


 公明党太田昭宏代表は27日夕、国会内で記者団に対し、同日の衆院本会議で2009年度予算案が衆院を通過したことについて、大要、次のような見解を述べた。

◇ 一、(予算案が)衆院通過したことで、年度内成立が可能になった。雇用、生活支援、社会保障など、いまだかつてないほど大規模な景気対策に全力を挙げるとの姿勢を示した予算案だ。これから参院で審議されるが、各企業の(3月期)決算にもかかわるので、一刻も早い成立へ(野党も)ぜひ協力をいただきたい。(08年度第2次補正予算の関連法案も)来週早く成立へ持っていかないといけない。

 一、(追加的な経済対策について)日本経済がかなり傷んできていることもあり、景気・経済(対策)に連続的にてこ入れをしていかないといけない状況が1、2年続くと思う。常に実体経済を見て、株価や雇用など打てる対策は打っていかなくてはならない。
(公明新聞:2月28日)