気浮揚へ対策がさらに充実

安全網強化、内需拡大などを切れ目なく

09年度予算・税制法成立


 これで景気対策が一段と充実することを歓迎したい。

 2009年度予算と税制改正関連法が27日、成立した。

 世界的な金融危機に伴い、戦後最悪の水準にまで落ち込んだ日本経済を立て直す上で、予算、税制は“生命線”。特に、09年度予算と税制改正には、生活、雇用、中小企業対策など、喫緊に対処すべき課題への具体策が豊富に盛り込まれているだけに、年度内に成立した意義は大きい。早急な執行を求めたい。

 09年度予算は、一般会計が前年度当初比で5兆4867億円増の88兆5480億円、政策経費に充てられる一般歳出も同4兆4465億円増の51兆7310億円と、ともに過去最大。厳しい財政事情の中、ムダ削減を徹底し、景気浮揚へ大胆な編成を行った。

 財政規律を注視する観点からも、重要なのは予算の中身だが、(1)非正規労働者雇用保険適用の拡大(2)雇用調整助成金による中小企業などの雇用維持(3)地域活性化に向けた地方交付税の1兆円増額――など、急激な景気悪化に対応した安全網強化や地域経済を守る施策が手厚い。

 環境対策と経済成長の両立へ家庭用太陽光発電燃料電池の普及を促すのも、新産業や雇用の創出を前進させるものだ。

 一方、09年度税制改正は、1兆円規模の大型減税で内需拡大や中小企業支援を強力に進めるのが柱。中でも、過去最大規模への住宅ローン減税の拡充や、エコカー減税は、経済への波及効果が高く、低迷した内需を下支えするとの期待は高い。また、中小企業の法人税減税や事業承継の円滑化などは、景気悪化にあえぐ中小企業経営者を大いに勇気づけた。

 政府・与党は、08年度第1、2次補正予算と09年度予算・税制改正を“3段ロケット”と位置付け、総額75兆円規模の景気対策の実施を急いできたが、これですべての施策が動き出す。

 報道などでは、2兆円規模の定額給付金だけが注目されがちだが、これはあくまで対策の一部。全体を見れば、景気悪化の影響が及ぶあらゆる分野に目配りし、切れ目なく対策を講じていることが理解できよう。


追加策の検討も急ぐ


 だが、今は「経済有事」とも言える緊急事態だ。景気悪化の勢いは、依然衰える兆しが見えず、ここで気を緩めれば、瞬く間に景気は底割れしかねない。

 こうした中、麻生太郎首相は13日、与党に対し経済有事に対応すべき新たな経済対策の検討を指示した。

 これを受け、公明党は「新・経済対策検討本部」(本部長=太田昭宏代表)で精力的に議論を重ね、31日にも中間報告を取りまとめる予定だ。

 内閣府が28日に発表した「社会意識に関する世論調査」では、日本が「悪い方向に向かっている分野」に68・6%の人が「景気」を挙げ、失業などへの不安が根強い現状が浮き彫りになった。公明党は、国民の不安解消へ今後も景気対策に全力を注ぐ決意だ。
(公明新聞:3月30日)