給付金反対、だけど賛成!?

東京・調布市の民主、共産

反対だけど賛成!?――。東京都調布市では、昨年12月の定例議会で「定額給付金の制度化撤回を求める意見書」が、民主党共産党などの賛成多数で可決された。ところが、この意見書に賛成した議員の大半が、給付金を給付するための市の補正予算案には賛成。この不可解な豹変ぶりに、市民から疑問や批判の声が噴出している。

 民主党市議らが「経済効果は期待できない」などとして提案したこの反対意見書に、共産党市議も「そんなカネがあるのなら別のところに使ってほしいといった声が圧倒的」などと給付金を批判して賛成した。

 ところが、定額給付金を含む国の補正予算成立に見通しが立った3月3日の定例市議会では民主、共産らの態度が一変。給付金を給付するための市の補正予算案に、民主市議は「市民生活に役立つよう、さまざまな場面で努力を」などと賛成討論までして、推進に180度、変わったのだ。

 共産市議も「国民から見れば受け取る権利が発生する」などとうそぶいて、手のひらを返したように給付金を歓迎した。

 国会で全党あげて「給付金反対」を大合唱した両党が国会審議を引き延ばしたことで、給付金の決定が遅れた。市議会でも、国に対して「給付金反対」の意見書まで可決しながらの態度豹変。戸惑っている市民に対して、ダンマリを決め込むことは許されない。

 近づく東京都議選衆院選を前にして、“給付を妨害した”と非難されることを避けたかったのだろう、との見方が一般的だが、それではあまりに姑息すぎる。結局は、国民の気持ちを読み誤り、党利党略で立ち回っていたことがバレた、ということではないか。給付金に反対の意見書を可決しながら、補正予算で賛成に回った地方議会は全国で少なからずあるが、こういう会派・政治家に市民はウンザリしているのだ。
(公明新聞:3月29日)