次代の社会と“安心”を築く

子育て、難病など支援。需要創出も全力

生活守る新経済対策


 GDP(国内総生産)成長率を2%押し上げ、50万人程度の雇用を生み出す――。深刻な不況が続く中、政府・与党が10日に決めた過去最大規模の新たな経済対策(経済危機対策)に、大きな期待が寄せられている。

 財政支出は15.4兆円、事業規模は56.8兆円。先行する、2008年度1次、2次補正、09年度予算での75兆円の対策と合わせた130兆円超という規模には、政府・与党の景気回復への強い決意が表れている。

 経済は人々の感情で動く。需要創出につながる対策は当然として、公明党は、「生活の安心があって初めて消費が拡大できる」(太田昭宏代表)との考えの下、与党間協議でも国民の安心感をはぐくむよう強く主張した。

 この結果、08年度第2次補正予算で実施された子育て応援特別手当を拡充し、第1子にも支給対象を広げ今年度(2009年度)のみ支給。女性のがん対策では、子宮頸がんは20歳から5歳刻みで40歳まで、乳がんは40歳から同様に60歳までの各年齢の人を対象に検診を無料化する。難病対策では患者団体から要望が強い11疾患を医療費助成の対象に入れ、さらに数疾患が検討されている。

 また、成長戦略について、公明党は「環境」による需要創出を強く訴えた。今は金融の暴走に端を発する混乱の最中だが、いずれ新たな秩序は訪れる。各国はピンチをチャンスにする発想で、21世紀の成長分野として新エネルギー・環境分野への取り組みを加速している。

 日本が立ち直り、世界に通用する経済構造をつくるため、新経済対策には、学校への太陽光発電パネル設置やエコ改修、学校耐震化計画の前倒しなどが盛り込まれた。環境対応車への買い替え補助も行い、今年度予算での減税策と併せて、環境車の普及は大きく進むと見込まれている。製品購入などに使えるエコポイント制度も活用。グリーン家電普及へ、価格の5%相当のポイント付与も行われる。

 喫緊の雇用対策では、需要の多かった雇用調整助成金を拡充するほか、雇用保険を受給していない方を対象に、職業訓練の拡充と訓練期間中の生活保障を行う「訓練・生活支援給付(仮称)」を行うための「緊急人材育成・就職支援基金(同)」も創設。中小企業支援策では、資金繰り支援のための緊急保証の保証枠を20兆円から30兆円へ拡大し、セーフティネット貸付も3兆円追加。地域活性化では、公共投資自治体負担を9割まで支援する「地域活性化公共投資臨時交付金(仮称)」1兆4000億円と、その他の事業に幅広く使える「地域活性化・経済危機対策臨時交付金(仮称)」1兆円が設けられた。


早期実行で危機脱却


 新たな経済対策を実行するための09年度補正予算案は、27日をメドに提出される方針だ。

 「できるだけ早期に実行していくことで、景気・経済に対する大きなテコ入れと危機脱却の力になる」(太田代表)。速やかな成立に全力を挙げたい。
(公明新聞:4月14日)