「基金」活用し危機に対応

桝屋政調副会長(衆院議員)に聞く
「全治3年」多年度視野に
必要な事業えりすぐり
バラマキ批判当たらず

残額は返納
公明、厳格な監視促す


 5月29日に成立した今年度(2009年度)補正予算には、危機的な経済状況に対応するとともに、多年度で施策を実施するために46本の基金が計上されているが、野党は基金について「バラマキ」などと批判している。そこで公明党の桝屋敬悟政務調査会副会長に基金の意義などを聞いた。


 ――なぜ46本の基金が計上されたのか。

 
桝屋敬悟・政調副会長 今回の過去最大規模の経済対策は「景気の底割れを断固防ぐ」との政府・与党の強いメッセージです。

 中でも「全治3年」の景気を回復させるためには、単年度主義の予算ではなく、将来を見据えて包括的・効果的に政策を展開する必要があります。多年度を視野に入れた施策を円滑に実施するために基金を設置することになりました。総額は4兆3674億円ですが、その約半分の2兆1318億円(15基金)は、住民に身近な地方自治体に設置しました。


 ――施策のポイントは。


 桝屋 まずは雇用政策です。今、ハローワークに来る方の半数は雇用保険が切れています。職業の確保だけでなく日々の暮らしにも困っている状況です。そのため、緊急人材育成・就職支援基金に7000億円を積み、3年間で100万人をメドに6カ月から1年間、再就職のための職業訓練を行い、10万〜12万円の生活支援を行います。深刻な雇用情勢を支えるセーフティーネット(安全網)としてぜひ必要なもので、公明党が強力に推進してきた施策です。地方の失業者の雇用創出を後押しする緊急雇用創出基金も3倍に積み増しします。

 エコ対策にも力を入れます。グリーン家電普及促進基金は、省エネ家電の買い替えを促す「エコポイント」事業の裏付けとなります。住宅用太陽光発電導入を支援するための基金は300万戸の個人住宅に設置を進めたいと思います。地方自治体の独自制度も合わせ、追加需要が必ず出てくると期待しています。


 ――基金について、野党は「バラマキ」などと批判しています。


 桝屋 いずれの施策も現下の厳しい経済状況に対応するもので、国民の生活を守る、将来のわが国の経済成長につながる政策です。今だからこそやらなければならない事業を選りすぐったもので、バラマキという批判は当たりません。

 経済不況の中では民間資金は動きません。個人消費の落ち込みもあります。特例的に特定の分野に投資をするのは非常に重要です。その意味で、複数年にわたり国が支援策を明らかにすることが大事だと思います。


 ――公務員の「天下り」につながるとの批判もあります。


 桝屋 今回の基金には独立行政法人(独法)や公益法人に設置するものがありますが、いずれも厳選されたもので、天下りを助長するためではありません。これらの支出はいずれも国民に還元されるものです。

 天下りの根絶に向けては、既に2007年の国家公務員法改正で各府省が独法や公益法人への斡旋をしない仕組みが整えられています。


 ――公明党の認識と取り組みは。


 桝屋 もちろん大切な税金を使うわけですから、基金の活用も国民の信頼を得るものとするのは当然です。公明党は5月12日、麻生首相のもとで執行状況を厳格に監視するよう申し入れをしました。さらに、同21日の参院予算委員会での山口那津男政調会長の質問に対し、河村建夫官房長官は、基金の使い道について(1)目的に沿い適切に利用(2)時限的なものとする(3)残額は国庫返納――を条件に支出することを交付要綱に明記する方針を明言しました。公明党は、今後もしっかりと監視していきます。

(公明新聞:6月2日)