年金 Q&A

「給付水準50%」大丈夫?

年金制度をめぐり、「安心の制度」が揺らいでいるかのような報道が見られます。Q&Aでお答えします。


「給付水準50%」大丈夫?
年金財政は健全、大丈夫です


 厚生年金の給付水準について「現役世代の平均手取り賃金の50%以上を確保」とする政府の公約が崩れたかのような報道がみられますが、大丈夫です。

 今年は、年金財政が今後100年の間で給付と負担のバランスがとれているかどうか5年ごとに検証する年ですが、試算の結果、モデル世帯(夫がサラリーマンで40年勤務し、妻は専業主婦)の給付水準は、2050年度時点でも「50・1%」です。年金財政は健全で、5年前と大きな変動はありません。


「50%」はモデル世帯だけ?
誤解です。低所得者に手厚く設計


 「モデル世帯以外はすべて50%以下だ」との指摘もありますが、それは誤解です。

 厚生年金は「“世帯1人当たりの所得”が同じなら給付水準は同じ」という制度ですから、共働き世帯であれ単身者世帯であれ、現役時代の所得が平均より低い人は50%より高い率で年金を受け取り、所得が高い人は50%よりも低くなるように設計されています。

 マスコミは、「夫婦とも正社員で40年間の共働き世帯」など、所得の高いところだけ取り上げて「50%を割り込む」と言っていますが、全体を見ればきちんと整合性がとれるようになっています。


未納増え制度は破たん?
95%が納付、財政には影響なし


 国民年金保険料の納付率が65%以下に留まり、深刻です。しかし、加入対象者が約7000万人いる公的年金全体からみれば、未納・未加入者は340万人で5%未満。残る95%は、きちんと保険料を納めています。

 未納者については、将来の年金が給付されないため、年金財政や給付水準への影響はほとんどありません。これは国民年金の保険料納付率を試算した結果、明らかになっています。破たんはしませんが、無年金・低年金を防止する観点から、今後も引き続き、口座振替の利用やコンビニでの納付促進、納付免除・学生納付特例制度の活用などを推進します。


若者は「払い損」か?
保険料より年金額多く、おトク


 参院では現在、基礎年金の国庫負担割合を3分の1強から2分の1に引き上げる国民年金法改正案が審議中で、早期成立が待望されています。

 税の投入で、現在の幼稚園児の場合でも、実際に納める保険料より将来受け取る年金額の方が、厚生年金で2・3倍、国民年金でも1・5倍オトクです。

 ほかにも、生涯受け取れる終身保険、いざという時は遺族年金・障害年金も支給されます。払い損にはなりません。


税方式へ転換すべき?
問題山積。非現実的で前例なし


 民主党や経済界などから、「保険料方式から税方式へ転換を」との声がありますが、税方式への移行には問題が山積しています。

 税方式を採用すれば全サラリーマンは、会社が負担していた保険料の半額が消費税に置き換えられて大幅負担増に。保険料を完納している高齢者には消費税の負担による“二重払い”、移行には「65年」もの長い期間がかかり、現実的とはいえません。実際、世界中で保険料方式から税方式に転換させた前例は一つもありません。

(公明新聞:6月7日)