“一石五鳥”以上の経済政策

消費者やメーカー、雇用、地球に貢献

エコカーが好調


 政府の支援策を背景に、エコカーの販売が好調だ。自動車産業は裾野が広く、経済、雇用への影響が大きい。景気下支えへの貢献を改めて評価したい。

 自動車メーカー8社の2009年4〜6月期連結決算を見ると、上位3社は1〜3月期に比べ営業損益が大きく改善した。

 ホンダはアジアの二輪車事業や国内でのエコカーが堅調。経費削減も前倒しし、当初は赤字予想だった営業損益が黒字化し、通期の営業利益予想も引き上げた。日産は中国での販売が前年同期比で3割近く増加。為替の影響もあり、前期の営業赤字を脱却した。

 トヨタハイブリッド車(HV)新型プリウスをけん引役に国内販売が好転。さらに固定費や原価低減に努め、営業赤字は前期の6825億円から5000億円近く減っている。エコカー補助金は来年3月末までの新車登録が必要だが、販売好調なプリウスは、既に年度内の納車が困難な状況にある。

 日本自動車販売協会連合会によると、軽自動車を除く7月の新車販売台数実績(登録車)の減少率は、前年同月比で0・6%にとどまった。12カ月連続のマイナスではあるが、2月に32・2%を記録した減少率は5カ月連続で改善。環境対応車を中心に、前年並みの水準にまで回復している。

 先日の時局講演会で、エコカー支援などの経済対策について、公明党山口那津男政務調査会長は、「公明党がやっていることは一石二鳥、三鳥、四鳥、五鳥以上にもなる」との見解を述べている。的を射た指摘だ。

 自動車業界で働く人は、裾野産業を含めて国内500万人とされる。エコカー支援では、消費者には減税と補助金でメリットがあり、メーカーは仕事が増えて業績が上がる。中小企業は部品の注文が増えて、仕事が戻ってきたことを実感でき、働く人は職場に復帰、残業や休日出勤もし、国際競争力も高まる。

 その結果、今やアメリカでも、低燃費の新車への買い替え補助を活用して売れている車の上位10車種のうち、半分が日本車となり、地球温暖化防止に貢献できるものとして、地球全体、世界中に歓迎される国際競争力となっている。



朗報を世界に提供


 人口減少や内需の不振など、先行き悲観論の多い日本ではあるが、多くのエコノミストが4―6月期GDPに関しては大幅なプラス成長を予測している。

 米国の4―6月期GDPはマイナス1・0%。ユーロ圏も依然、マイナス成長が続く。日本が先進主要国で先頭を切って大幅なプラス成長を回復できれば、明るいニュースを世界に提供することができる。

 この背景には、中国向けを中心とする輸出の回復のほか、定額給付金エコカー支援、エコポイント効果で個人消費がプラスに転じたこと、昨年度の補正予算で積み上げられた公共事業の執行などがある。

 一連の経済対策は、確実に威力を発揮している。
(公明新聞:8月12日)