体育の日 社会挙げてスポーツ振興を

子どもたちの健全な成長願いつつ

きょう12日は「体育の日」。台風一過の秋晴れの下、列島各地ではさまざまなスポーツイベントが予定されている。大いに体を動かし、心地よい汗を流す一日としたい。
とりわけ、ごろ寝を決め込んでいるお父さん、ここは予定を変更して、家族の先頭に立って戸外に飛び出してみてはどうだろう。終日、テレビゲームを楽しもうなどと考えている小中学生の君も、ちょっぴり苦手な運動にチャレンジしてみよう。ゲームでは味わえない爽やかな感動をきっと体験できるから。
周知の通り、体育の日は1964年の東京オリンピックの開会日(10月10日)を記念して制定された。その後、10月の第2月曜日に変わったが、「スポーツに親しみ、健康な心身をつちかう」(祝日法)との趣旨に変わりはない。
スポーツの大切さについては、今さら改めて確認するまでもないだろう。
古代ローマの風刺詩人ユヴェナリスは「健全なる精神は健全なる身体に宿る」とうたい、近代オリンピックの父、ピエール・ド・クーベルタン男爵は「自己を知る、自己を律する、自己に打ち克つ」ことにスポーツの眼目があることを強調した。
文部科学省による「子どもの体力向上キャンペーン」で、今年度文科大臣賞に輝いた茨城県潮来市立延岡小学校の宮田将麻君の標語「体力は 未来にはばたく 力だよ」も、スポーツの真髄を見事に言い当てている。
体育の日を前に、スポーツには体力強化や健康増進だけにとどまらず、人々の精神力を養い、社会の未来を開いていく力があることを再確認しておきたい。
幸い、中高年層の間ではここ数年、静かな運動ブームが起こっているようだ。文科省の「体力・運動能力調査」結果を見ても、20歳以上の成人の体力・運動能力は緩やかな向上傾向を示している。
公明党が主張し、推進してきた「生涯スポーツ社会」の実現に向けて、着実な成果が出ていることを歓迎したい。
問題は子どもたちだ。現在の子どもの体力・運動能力を、その親の世代である30余年前と比較すると、子どもの世代が親世代を大きく下回っていることを各種調査は伝えている。


一緒に汗を流そう


子どもの体力低下は、将来的に国民全体の体力低下を招き、生活習慣病の増加やストレスに対する抵抗力の低下など、社会全体の活力を奪いかねない。子どもの心と体をバランスよく成長・発達させるために、大人社会挙げての取り組みが必要だ。
そのためにも、まずは大人一人一人が子どもの目線からスポーツの意義や効力をとらえ直し、子どもと一緒に運動することをいとわないことが大切だろう。東京オリンピックの年に結成された公明党が掲げる「社会挙げてのスポーツ文化の振興」の主張も、要するに「大人も子どもも、ともにスポーツする環境づくり」(斉藤鉄夫党政調会長)の一点にある。
(公明新聞:10月12日)