指導力の欠如に失望深まる

政治とカネ、郵政改革など 鳩山内閣の“機能不全”を追及

党首討論

 これほど答弁がかみ合わない党首討論があっただろうか。

 今国会2回目となる党首討論が、1カ月半ぶりに行われた。公明党山口那津男代表が繰り出した矢継ぎ早の追及に対し、鳩山首相は何一つ、真正面から答えようとしなかった。

 マスコミからも「討論を早く切り上げようとする時間稼ぎとみられても仕方があるまい」(1日付 読売新聞)と酷評される始末である。首相の不誠実な姿に、国民の失望はますます深まっているのではないか。

 山口代表が冒頭で追及したのは、鳩山内閣が“機能不全”に陥っている現状への、首相自身の認識だ。

 誰も責任を取らない「政治とカネ」の問題。利益誘導政治の復活とも見える個所付け(公共事業の予算配分)問題。“閣内バラバラ”をさらけ出した郵政改革案。いまだに決着の見通しが立たない米軍普天間飛行場の移設問題……。

 挙げれば切りがないほどの、みっともない体たらくだ。

 しかし、首相は「反省すべき点は反省したい」と言うだけで、具体的な対応には踏み込まなかった。「反省すると言うなら、具体的に反省の姿を見せてもらいたい」との山口代表の切り返しは、多くの国民の声を代弁したものだったに違いない。

 「政治とカネ」の問題では、首相の資金管理団体をめぐる献金偽装事件の初公判に触れ、元公設秘書の勝場被告に、国会招致に応じるよう説得してはどうかと要求。さらに、首相自身の国会答弁を引用し、その言葉通り、裁判の終了後に関係書類を国民に公開し、母親から提供された政治資金の使途を説明するよう強く迫った。

 首相は、国会招致については「国会で決めてもらえばよい」とはぐらかし、政治資金の説明についても後ろ向きな答弁に終始した。「政治とカネ」の問題を何とかしようという指導力微塵も感じられず、人ごとのような口ぶりには怒りさえ込み上げてくる。

 郵政改革については、民主党の方針転換を糾弾した。

全く逆方向の決着

 民主党は、2005年に国会提出した法案では、郵便貯金の預入限度額(1000万円)を引き下げると明記していたが、現政府の郵政改革案は限度額を2000万円に引き上げることで決着した。全く逆方向だ。

 安直な預入限度額の引き上げは、経営基盤の弱い中小の金融機関から“つぶれない”郵便貯金への資金移動を招く恐れがある。そうなれば、中小企業融資に悪影響が及ぶことは容易に想像ができるだろう。

 山口代表は「中小企業をいじめるような法案は許さない」と厳しく追及したが、首相はまたしても論点をそらし、「(預入限度額の引き上げが)郵政事業を続けさせる唯一のやり方だ」などと答弁した。

 直面する問題に向き合わない首相の指導力の欠如は国民の不信感を高めている。そのことを首相は肝に銘じるべきである。
(公明新聞:4月2日)

暖簾に腕押しというか、糠に釘というか、解っててはぐらかしてるのか本当にイライラする総理の答弁。