政規法改正へ議論進めよ

「秘書がやった」を許さない規定に

「政治とカネ」
共に政治資金規正法の違反容疑で告発され、不起訴処分となっていた鳩山首相民主党小沢幹事長に対する検察審査会の議決は、改めて同法の改正の必要性を浮き彫りにしたといえよう。

検察審査会は、有権者からくじで選ばれた11人が審査員となり、検察官による不起訴処分が適切だったかどうかを"市民感覚"でチェックする仕組みである。審査の結論をまとめた議決書の内容は、まさしく「国民の声」と言っても過言ではない。

鳩山首相を「不起訴相当」とした東京第4検察審査会の議決書では、政規法における政治家(政治団体の代表)の監督責任について、「政治家に都合のよい規定になっている」と糾弾し、法改正すべきだとした。

小沢氏を「起訴相当」とした東京第5検察審査会の議決書でも、政規法の趣旨・目的に触れた上で、「『秘書に任せていた』と言えば、政治家本人の責任は問われなくていいのか」と指弾している。

現行の政規法では、会計責任者が虚偽記載をしたとしても、政治家が責任を問われるのは、会計責任者の「選任」と「監督」の両方で「相当の注意を怠った」場合とされている。「選任さえ問題がなければ監督が不十分でも刑事責任に問われないというのは、監督責任だけで会社の上司らが責任を取らされている世間一般の常識に合致していない」(東京第4検察審査会)との指摘には、大多数の国民が「その通りだ」と手を打ったに違いない。

こうした「国民の声」を、与野党の国会議員は重く受け止めるべきである。

公明党は昨年11月、「選任」か「監督」のいずれか一方の過失で政治家の責任を問えるように変更する政規法改正案を国会に提出している。

また、「政治とカネ」の問題の再発防止に向けた与野党の協議機関の設置を提唱し、今年2月の党首討論では首相から「設置に賛成」の言質も取ったが、協議は一向に進んでいない。「民主党が説明責任を果たさないことが大きな壁」(井上義久幹事長)になっている。

だが、国会での疑惑解明と政規法の改正論議は、並行して進めることができる。首相や小沢氏に説明責任を求めることは言うまでもないが、同時に、与野党公明党の政規法改正案を軸として、早急に法改正への議論を進めるべきである。

これ以上、「秘書がやった」との言い逃れを許してはならない。
(公明新聞:5月1日)