「政治家に都合よい規定」検察審査会が改正求める

「政治家に都合のよい規定になっている」。鳩山由紀夫首相の資金管理団体をめぐる献金偽装事件で検察審査会は26日に、首相の「不起訴相当」を議決する一方で、政治家の監督責任を問えない現行の政治資金規正法を改正すべきと異例の付言を行った。与野党市民感覚が反映された今回の審査会の意見を重く受け止めるべきだ。

審査会は、首相の会計責任者だった元政策秘書(略式起訴)に対する首相の選任・監督について「選任に問題はなく、刑事責任を問えない」と判断。

その上で、政規法が「選任」と「監督」の両方で注意を怠った場合のみ違反が成立すると規定している点について、「政治家に都合のよい規定。選任さえ問題がなければ監督が不十分でも刑事責任に問われないというのは、監督責任だけで会社の上司などが責任を取らされている世間一般の常識に合致していないので、改正されるべきだ」と付言した。

この付言を重く見たマスコミ各紙は27日付で「監督責任を処罰できないもどかしさがうかがえる。速やかな法改正を求める」(東京)などと主張。「政治資金規正法を抜本改正する責任を政治に課した点は画期的で意義深い」(上脇博之・神戸学院大大学院教授=毎日)といった識者のコメントも紹介された。

さらに、読売新聞は社説で「公明党は、どちらか一方を怠れば責任を問えるようにする改正案を国会に提出している」とし、「民意を汲んだ法改正論議につなげたい」と結んでいる。

公明党は、国会での疑惑解明と与野党機関での政規法改正協議を並行して進めるべきと一貫して主張している。どちらもこれ以上の先送りは到底許されない。このことを与野党、特に与党は肝に銘じる必要がある。
(公明新聞:4月28日)