「うつ、自殺対策」アウトリーチ支援の必要性

昨夜、通院支援をしてきた青年のお母さんから嬉しいご連絡をいただきました。

昨年の5月に人を介して知り合った彼は10年ほど前からひきこもり状態が続いていました。
職場での人間関係に悩み退社。その後は外に出ることも出来ず、朝晩が逆転の生活。
病院にも何度か通いましたが薬をもらうだけで治療とは程遠い状態。お母さんも世話するだけで精一杯で常態化してしまっていました。
とにかく、治療にむかえるよう再度、通院を勧め、病院選びからスタート。

お母さんと青年自身、病気であることを受け止め、同時に新たに通い始めた病院の先生と相談しながら当人との接し方、家庭で出来る治療方法をポジティブに行なってきました。

当初は彼と会うこと、話しする事さえ難しかったんですが、昨年の秋頃には自身で通院出来るまでに回復。「苦労をかけてしまった母に楽をさせたい。早く社会復帰出来るよう頑張ります」と彼から聞いた時は本当によかったなと思いました。
暫くはお母さんと電話とメールのやり取りで状況の報告を受けてましたが、年が明けてからは昨夜が初めてでした。

ついに通院先の先生から「社会復帰にむけ、訓練を始めよう」と私も知らなかったNPOの支援団体、各種の職業訓練施設を紹介していただき、現在はパソコンの情報処理技術のスキルを身につけるべく頑張っています。

「このままではいけない」という焦る気持ちが空回りしながら、片方では「どうにもならない」現状を「仕方ないじゃないか」と肯定する。何年間も苦しんできた彼は今、現実を見つめつつも、一つの目標を見つけ、一歩づつ力強く前へ前へと踏み出しています。

国の自殺対策として、アウトリーチ支援の強化が挙げられておりますが、具体的にはこういった通院支援、家庭での生活支援、就労支援を行っていく事、また何よりそういった支援に繋げていくための総合的な相談窓口の設置、ボランティアの把握とその活動支援を行なっていく事だと思います。
アウトリーチに繋げれば全て改善出来るかと言えば、まだまだ課題はありますが、私の経験上、劇的に改善出来る例も少なくないだけに、どれだけ地域で意識を高く持って取り組めるか、これが鍵になってくると思います。