「実測!ニッポンの地域力」藻谷浩介著

「高齢化」という言葉を聞かない日はない。しかし、高齢化というのは具体的には何がどうなることなのか。(中略)総人口は1割も減らないが、75歳以上人口(後期高齢人口)は9割も増える。2005年現在では50代後半の団塊世代が2025年には9割近くご存命のまま75歳を超える、という生物学的な事実が、かかる事態を不可避にもたらす。つまりわが国が直面している「高齢化」とは、「高齢者の絶対数の劇的な増加」という物理的な問題であって「総人口の減少による高齢化率の上昇」という数学的な問題ではない。

問題の構造は、前章で指摘した、少子化に関する誤解と類似している。その骨子は、「少子化」というのは「出生率」の低下ではなくて「出生者数」の減少であること、経済社会に実際の影響を与えるのは出生者「数」なのに、その説明変数にすぎない出生「率」ばかりが注目される結果、「出生率が低下せずともさらに出生者数減少が進む」という近未来の危機が、危機として認識されていないこと、だった。「高齢化」は「高齢化率」の上昇ではなくて「高齢者数」の増加であること、そして、医療、福祉、年金などの所要額の増加に直結するのは、受益者である高齢者「数」の増加であって、高齢化「率」の上昇ではないことも、すっぽり世の認識から抜け落ちている。かかる認識の欠如を助長するのが、少子化と高齢化をいっしょくたにした「少子高齢化」なる言葉だろう。

野党が「廃止」を高らかに叫び、一部マスメディアが「悪しき制度」とされた「後期高齢者医療制度」。確かに、制度の一部に誤解を生む部分はあったかもしれませんが、必要性と正当性、長期展望の下、永く崩れない制度確立のためには必要な制度であると思います。野党の「廃止案」に何の根拠も見出せないので、不安を煽り立てられた方々に誠意を尽くして説明をするために日夜勉強しております。そんな中、先輩議員のHPで参考に読んだ本として絶賛されていたので私も買って読んでます。文章構成も大変読みやすく、内容も、まさに目からうろこが落ちる?思いです。
実測!ニッポンの地域力