太田代表の衆院代表質問(要旨)

公明党太田昭宏代表が2日午後、衆院本会議で行った、麻生太郎首相の所信表明演説に対する代表質問(要旨)は次の通り。

 私は公明党を代表して、ただいま議題となりました、麻生新総理の所信表明演説に対して、質問を行います。

 新総裁の誕生を受け、公明党自由民主党は9月23日、19項目にわたる「新たな連立政権合意」を行いました。これまで両党が築いてきた信頼関係と成果のもとに、山積する内外の諸課題に一致協力して、全力で取り組んでまいる決意であります。

 さて、昨年(2007年)顕在化した米国のサブプライムローン問題は、世界各国で株安・ドル安をもたらし、株式市場から離れた投機マネーが原油穀物などの市場に向かい、価格を押し上げるという異常事態を招きました。

 それに追い打ちをかけるように、米国の大手証券会社「リーマン・ブラザーズ」の破綻、そして、現在も進行中の国際金融市場の混乱は、予断を許さない局面を迎えております。世界の構造変化に起因するこれらの激動により今、わが国の国民生活と中小企業は深刻な緊急事態に陥っています。

 私はこの緊急事態に際し、生活を守るのは公明党であると強く訴えます。併せて現在、直面する問題が、原油穀物価格の高騰、広がる金融不安など、世界の構造的要因に起因していることを踏まえ、日本の未来に向けて「安全と安心の勢いのある国づくり」に踏み出したい。まさに「家計を元気に、国に勢いを」と強く決意するものであります。

 そのためには日本がもっている潜在力、可能性をどう引き出すかであります。私は特に改革のエネルギーとして青年の力、女性の力を大事にしバックアップしたい。この青年力、女性力が大きく発揮される国にしていくことによって、国に勢いがもたらされると確信します。それこそが今後の日本にとって大事であると考えます。

 総理は就任の記者会見で、「景気への不安」「国民の生活への不満」「政治への不信」の危機を感じていると強調し、それらを打開して「日本を明るく強い国にしたい」と訴えられました。

 公明党は、その具体的な推進の軸になっていくことを決意しています。またそれを力強く推進できるのは現在の与党であり、経済・生活不安の中で、今こそ安定した政権が大事であると訴えます。日本が置かれた窮状を打開する総理の答弁を求めます。

緊急経済対策の実施を直ちに
当面の政治課題への対応(生活支援・生活防衛

 「生活必需品の価格は上がる、しかし所得は増えない」という状況の中で、庶民の家計は圧迫されています。一方、より大きな影響を受けているのが中小企業であります。原油・原材料価格の高騰により経営が苦しい上、“貸し渋り”や運転資金も貸さない“貸し止め”に遭う企業が急増し、まさに崖っぷちに立たされています。今、政治に求められているのは、直面する困難を打開する国民の生活防衛、生活支援、そして中小企業へのバックアップであります。そのための緊急経済対策を直ちに行わなければなりません。そうした状況を踏まえ、先般、政府・与党で、定額減税の年度内実施や中小企業の資金繰り支援を柱にした緊急総合対策を決定いたしました。

定額減税、臨時福祉特別給付金、中小企業支援
総合対策の3つの柱

 その第1が「定額減税」であり、総理も所信表明で年度内実施を明言されました。定額減税は、景気が悪化する中、家計の消費を下支えするという、まさに「現場から生まれた知恵の決断」であります。定額減税は所得の低い方ほど恩恵が大きく、望ましい経済対策として国民の期待が高まっております。

 第2には、「臨時福祉特別給付金」です。これは減税の恩恵を受けられない低所得の方への対策として「定額減税」と合わせて実施することとしています。具体的な内容は今後の検討ですが、平成10(1998)年実施の内容を参考に、低所得の年金受給者の方、母子家庭の方、生活保護の方などが給付を受けられるようにすべきと考えます。

 これら定額減税、臨時福祉特別給付金の実施方法やその財源規模は年末の税制改正とあわせて議論をすることとしていますが、財政投融資特別会計などの剰余金・積立金を活用するなどとし赤字国債に頼るべきではないと考えます。

 こうした点について、麻生総理はどうお考えか、お聞かせください。

 第3は、「中小企業への保証・貸付の拡大」です。現下の原油・原材料価格の高騰は、価格転嫁が難しい中小零細企業を直撃。さらに金融不安が景況感の悪化に追い打ちをかけ、昨秋の責任共有制度の導入とあわせて民間金融機関の融資姿勢の硬直化を招き、中小企業を直撃しております。

 「原油高で経営が苦しい」「運転資金が切られ、このままでは倒れる」││。そういった中小企業の悲鳴に政府は真摯に耳を傾け、累次の融資拡大策に加えた、円滑な資金供給を確保する保証・貸付の拡大と新たな枠組みをつくるべきであります。急がなくてはなりません。中小企業を今こそ守らなくてはなりません。

 以上、国民生活と中小企業を守るための三つの施策について、速やかな実施を強く求めます。

 麻生総理、米国発の金融不安がわが国に押し寄せ、実体経済にも影響を及ぼすことが懸念される今、補正予算の早期成立とともに、さらなる景気対策がきわめて重要であります。

 総理は、日本経済の立て直しには、当面は景気対策、中期的には財政再建、中長期的には、改革による経済成長の3段階で臨む。さらに、日本経済は全治3年、と申されました。そういう意味でも、私は「緊急総合対策」に続く、追加的な景気対策を強く望むものであります。

 財政金融面での対策はもちろん、税制面においても、住宅ローン減税の延長・拡充、エコ改修減税の創設。そして設備投資や環境技術開発の促進策の拡充、海外子会社利益の国内還流の促進など、新たな経済成長に直結するような施策を強力に実施していくべきだと考えますが、総理のご見解をお伺いしたい。

官の不正を正し、「霞が関」に大胆に切り込む
国民の信頼こそ基盤

 あらゆる改革を前に、まず行うべきは官の不正をただし、行政のムダを徹底的に排すことであります。「信なくば立たず」、国民の信頼がなければ政治、行政は成り立ちません。社会保険庁問題や、「事故米」の不正使用を見逃してきた農水省の対応、大分県の教員採用の不正など、国民の信頼を裏切り続ける行政に対する不信は頂点に達しています。

 今こそ行政の不正を正し、霞が関に大胆に切り込む覚悟が必要であります。

「元祖ムダ・ゼロ」 としての取り組み

 公明党はこれまで「元祖ムダ・ゼロ」として、行政のムダの排除に徹底的に取り組んできました。

 「必要な公共事業はやる」、ただし「ムダな公共事業はやめさせる」との視点に立ち、連立政権参加後、272の公共事業を中止させ、約2兆6000億円の削減効果をもたらしました。

 また、特殊法人改革で国からの財政支出を約2兆円削減、その数も半減させました。公明党の調査で、行政経費のムダ遣いを会計検査院から指摘されながら、過去20年間で100億円も返還されていない実態をあぶり出しました。

 さらに、議員特権である国会議員の特別交通費、肖像画作製費などを廃止。国家公務員の通勤定期代の見直しでは、年間55億円を削減させました。


行政のムダに切り込む10の挑戦

 今後も公明党は、官の不正は絶対に許さない。そして、行政のムダに切り込む10の提案をしています。

 例えば、まず政治家が自ら身を切る。まず「隗より始めよ」で議員歳費の1割削減、幹部公務員の10%給与カット、特別会計の徹底見直し、国に依存する公益法人への財政支出を3割超削減、行政のムダな支出を徹底的になくすため、会計検査院のチェック機能および権限の強化、国の出先機関を廃止・縮小、全省庁のタクシーチケットの廃止をはじめ行政管理経費の大幅削減などに取り組む必要があります。

 併せて今、必要なことは、税や保険料は、自分たちのものではない、国民からお預かりしたものであるという徹底した奉仕する姿勢への意識変革です。総理、陣頭指揮で、ムダ一掃へ大胆に切り込んでいただきたい。そのご決意を伺います。


21世紀・日本の構造改革 (中・長期的な視点からの取り組み)

 さて、21世紀に入って8年、世界の構造変化は激しく、そのなかでわが国は生き抜く力をもたねばなりません。グローバリゼーションによる金融も含めた国際社会の劇的な変化、中国、インドなどBRICs諸国の著しい経済成長、地球温暖化防止へ向けた環境制約、そして国内における少子高齢社会到来という激変のなかにあって、未来を切り開く国家戦略をあらゆる面で進めなくてはなりません。

 私は、年頭より「10年間横ばいのGDPを上げる、給与を上げる」ことを訴えてまいりました。そのためには、「資本力・技術力・労働力」の三つの要素をいかに効率よく活用し、いかに引き上げていくか。

 そして若者、高齢者、女性の社会参画に施策を集中的に講じることや、労働分配率の引き上げを主張してきたところです。先ほど指摘したムダの削減努力とともに、より大事なことは成長戦略、伸ばす勢いであり、時代を見抜く先見性と洞察力、正確な現状認識に基づくわが国のパラダイム・チェンジを的確に行うことであります。

 今後、わが国が中長期的な視点から取り組むべき重要課題として、「エネルギー危機に対応し、低炭素社会への転換」「食料危機への対応として、農業の立て直し」「少子高齢社会へ対応し、安心の社会保障制度の構築」の3点について申し上げたい。


低炭素社会への転換(環境)

 第1は、低炭素社会への転換です。

 まず、「第二の産業革命」ともいうべき「低炭素社会づくり」へ、石油など化石燃料への依存から脱却し、CO2(二酸化炭素)の発生を抑制した低炭素社会へ向かう軌道を、この2、3年のうちにしっかりと敷くことが重要であります。

 洞爺湖サミットでは、世界全体の温室効果ガス排出量を2050年までに半減させる目標が主要国間で共有されました。日本は同年までに現状から60〜80%削減する目標を掲げていますが、わが国の削減目標は、社会のあり方や国民のライフスタイルを根本から変えることなしには達成できません。車はガソリン車から次世代自動車へ、家電は省エネを超えた「低エネ」へ、住宅も壁に断熱材、屋根には太陽光発電というエコハウスへ、そして「モノ」はすべてリユース(再使用)、リサイクル(再生利用)へと、私たちの暮らし方を大きく変えていかなければなりません。

 日本の環境技術は世界屈指のレベルです。残念ながら太陽光発電量・世界一の座をドイツに明け渡しましたが、わが党の斉藤鉄夫環境大臣は、トップの座を奪還することを宣言し、その実現へ陣頭指揮を執っています。そしてこの環境分野におけるイノベーションをGDP拡大の推進力にしていく知恵も大事です。

 低炭素社会づくりへ向けての総理ならびに環境大臣のご決意および具体的な方策について、その考えを承りたい。

 次に循環型社会の構築に関して、1点お伺いいたします。

 都市で大量廃棄される家電製品等の中に有用な資源が多く含まれることを指して「都市鉱山」などと呼ばれております。資源高騰・資源枯渇の中で、携帯電話等の使用済み小型家電などに含まれているレアメタルや重金属の回収体制の確立が急務だと考えますが、環境大臣の見解をお伺いいたします。


食料危機への対応 (農業の立て直し)

 第2は、食料危機への対応です。

 世界的な食料危機から国民生活を守るために、安全な食料の安定的な確保と農業の立て直しが急務です。当面の目標である食料自給率50%に引き上げるため総合的な取り組みを急ぐ必要があります。

 自給率向上には麦・大豆・多用途米などの国内生産力の強化が不可欠です。その基盤を整備するため、農地を貸しやすく借りやすくする観点から、農地法と関連税制を見直し、約39万ヘクタールに達した耕作放棄地の再生などに全力で取り組む必要があります。国内農産物の消費を促す地産地消農商工連携や米飯給食のさらなる拡大、麦・大豆などの生産振興や食育も推進していかねばなりません。

 さらに担い手として、若者が就職先として農林水産業を積極的に選択できる環境をつくり、大都市から地方への流れをダイナミックにつくり出すための大胆な施策が求められています。わが国の農業をいかに立て直すか、総理のお考えを承りたい。


年金記録問題徹底調査、責任追及を加速
安心の社会保障制度の構築

 第3は国民生活の安心、安定を支える社会保障制度の構築です。

 わが国が世界に誇る皆保険、皆年金を将来にわたって持続可能とするために行ってきた一連の改革の方向性は、正しいものと評価しております。

 しかし、私は現場を回るなかで、改革の恩恵が行き渡らない方々、急激な変化で大きな影響を受ける方々、また急激な高齢化、そして症状の重度化が進むなか、医療・介護のサービス供給体制が追い付かない問題など、きわめて厳しい現状を目の当たりにしてまいりました。

 一方で、社会保険庁の積年のズサンな業務処理や不正行為が次々明らかになり、制度に対する国民の不信、不安が著しく高まっております。総理、強力なリーダーシップを発揮して、安心の社会保障制度の構築に全力で取り組もうではありませんか。

 (年金)

 そこでまず取り組むべき課題は、年金制度の充実です。公明党は、低所得者の給付額を上積みする「加算年金制度」の創設や、低年金・無年金対策として、「受給資格期間の短縮」「追納期間の延長」の実現を強く求めます。

 また、制度不信を招いた年金記録問題については、約8億件の紙台帳記録とコンピューター記録との早期照合を行うとともに、厚生年金の標準報酬の改ざんに対し、徹底した調査、責任の追及等の取り組みを加速させるべきです。

 (医療)

 次に、安心できる医療の実現です。

 医師の養成については、先般、政府が従来の方針を大きく転換し、養成数を1.5倍程度に拡大することとしたことは、大いに評価したい。しかし、産科、小児科など不足している診療科の医師や地方の病院の勤務医を確保するため、大都市部に研修医が集中する現行の臨床研修制度を改善する必要があります。同時に、地方の医療を担う医師の養成確保について、それぞれの地方の大学医学部や基幹病院を中心にどのような道筋をつくっていくのか、従来型の発想ではなく、一歩も二歩も踏み込んだ対策を官民あげて模索すべきであると考えます。

 救急医療の再構築も急務です。

 救急患者を迅速に受け入れるための救急医療情報システムの整備を急ぐとともに、軽症の場合に救急車を呼ばないで済むよう、24時間の電話相談や開業医の参加など、地域の実情を踏まえた救急医療安心地域づくりを広げていくべきと考えます。

 (長寿医療)

 長寿医療制度については、自公連立政権合意にあるように、高齢者の心情に配慮し、法律に規定してある5年後見直しを前倒しして、より良い制度の構築を目指して、国民の納得と共感が得られるよう更なる改善に努めるべきです。

 (介護)

 介護については、要介護者が、2007年6月時点で制度発足時の2倍を超える445万人に達し、介護人材の不足は深刻な問題です。高い志があっても、生活設計が可能な賃金水準の確保など適切な待遇改善がなされなければ人材は確保できません。

 介護従事者の報酬を引き上げ、人材を確保することに全力を挙げていただきたい。

 (がん対策)

 公明党が精力的に取り組んできた「がん対策基本法」に基づく、がん対策推進基本計画では、がん死亡を20%減らす目標を掲げており、その着実な実行が不可欠です。特に、がん検診の受診率50%への取り組みは重要であり、国民の生命を守るがん対策を確実なものとするため、できるだけ早期に計画の中間報告を義務付け、進捗状況を確認することを提案します。

 年金、医療、長寿医療、介護、そして、がん対策について、総理および厚生労働大臣のご所見を伺います。


地域主権型の道州制導入すべき
地域活性化・雇用対策・消費者行政の充実強化
地域活性化

 人口減少時代を迎えた今日、地域が活性化し、自立的に発展できるよう、施策の結集が大切です。

 具体的には、地域経済を立て直し、地域の雇用を確保するため、農商工連携の取り組みへの支援、中心市街地の活性化、観光資源の活用や環境ビジネスの振興など、地方再生の取り組みを強力に推し進めるべきです。

 一方、道州制については、「道州制基本法(仮称)制定に向けて、内閣に『検討機関』を設置する」と連立政権合意に盛り込まれました。私は地域の個性、創造力、エネルギーを大胆に引き出す「新しい国のかたち」をつくる地域主権型の道州制の導入を積極的に進めるべきであると考えます。

 道州制の導入に向けた総理の基本的な考え方、具体的なプロセス等について、ご答弁をいただきたい。


若者・女性・高齢者の雇用支援

 本年通常国会の代表質問で私は、若者・女性・高齢者に雇用支援の施策を集中的に講ずべきと訴えました。

 特に若者の「職業訓練期間中の給付金制度」については、現場の期待も大きく、早期スタートを求めます。また雇用情勢の影響を真っ先に受けるのは、わが国の就業者総数の実に3人に1人となる非正規雇用者であり、安定雇用への強力な移行支援が急務です。「ジョブカード制度」の定着と参加企業の拡大、また正社員化を行う中小企業への助成金拡充など実効性の高い施策を進める必要があります。

 総理は、若者を支援する新法を提案されましたが、具体的にどのようなことを検討されるのか、ご答弁ください。

 一方、60代、70代になっても働ける環境づくりとともに、収入によって年金額が減額される在職老齢年金制度が、高齢者の働く意欲を損なわないよう制度の見直しを行う必要があります。総理のご所見を承りたいと存じます。


労働法制の見直しなど

 雇用確保とともに重要なのが、よりよい労働環境の整備です。

 公明党は、日雇派遣は労働者の保護、雇用の安定、職業能力の向上の観点から見て問題が多すぎる、と主張してまいりましたが、日雇派遣労働について原則禁止とする法改正を行うことで与党間で合意しました。

 少子化問題の一因ともなっている不安定就労や長時間労働に歯止めをかけるためにも、これらの法改正の早期成立に全力を挙げるべきです。総理のご見解を伺います。


消費者政策の強化

 本年は年頭から、冷凍ギョーザへの農薬混入、食品偽装、事故米の不正転売など消費者の安全を脅かす問題が相次いでおります。特に事故米の食用への横流し事件については、米穀の検査体制の強化、流通システム全般の見直しなど、再発防止策が急務です。

 縦割り行政による連携不足、公表の遅れ、被害者の苦しみに鈍感な監督官庁の無責任さに、国民の怒りは頂点に達しております。私は改めて、消費者庁を早期に設置し、消費者行政は国の責任であることを明確にすべきと訴えます。

 そして万一、事故が起きた時に被害の拡大を防止するため、立ち入り調査、販売禁止や製品の回収、相談窓口への支援を柱とする「消費者安全法」を制定すべきと考えますが、総理の見解をお伺いします。


責任あるリーダーシップを期待
平和外交(国際協力・拉致問題
総理の平和 外交の姿勢

 総理は国連総会の演説の中で、昨今の国際金融問題に対するわが国の貢献、洞爺湖サミットの成果を踏まえた環境問題への取り組み、中東和平のためにヨルダン渓谷の開発を通じてパレスチナを支援する「平和と繁栄の回廊」構想の推進、テロとの戦いに積極的な参画、核兵器廃絶の取り組みなどに触れられました。わが国の役割と姿勢を鮮明にするこれらの主張を高く評価するものであります。

 日米同盟と国際協調を基本に、世界の平和と発展に貢献する「日本」として、国際社会の中で責任ある役割を果たすためにさらなるリーダーシップを期待します。総理の外交に対する基本姿勢をお伺いします。


インド洋での補給支援活動

 世界中の人々が震撼した9・11米国同時多発テロから今年で7年が経過しました。テロとの戦いは、長期にわたり国際社会が連帯して取り組む最重要課題であります。

 国際テロと戦うわが国の取り組みとして、インド洋での給油活動を継続するための補給支援特別措置法は延長すべきです。

 わが国の補給支援活動が下支えする海上阻止活動によって、これまでに約30トンもの麻薬が押収されるなど、テロリストの資金源を断つ効果を挙げてきました。また原油の9割を中東に依存するわが国にとって海上交通の安全確保にも寄与しております。

 わが国は今後も、この補給支援活動とアフガニスタン本土へのODA(政府開発援助)を通じた人道復興支援を車の両輪として取り組むべきと考えます。与野党の垣根を越えた協議によって合意に至るよう期待したいと思いますが、総理のご見解を承りたい。


拉致問題について

 北朝鮮による調査委員会の設置の合意により、長く停滞していた拉致問題が解決へ前進するかに見えましたが、いまだ足踏み状態です。今後、拉致問題の解決へ向けての総理のお考えをお尋ねします。

 以上、当面する重要課題について述べましたが、国民生活の窮状の打開、日本の未来を切り開くための総理のリーダーシップを強く望み、私の質問を終わります。