中小企業の緊急保証制度 31日スタート

対象業種が545に大幅に拡大します!
もちろん100%保証です

中小企業のための新たな緊急保証制度が10月31日からスタートします。2008年度補正予算の成立に伴い、資金繰りに苦しむ中小企業への支援策として、公明党が実現しました。また、セーフティネット貸付の貸し付け内容も強化されます。新制度の特徴や期待の声、中小企業診断士の坂本篤彦氏の評価などを紹介します。


2期連続赤字でも審査は総合的に判断します

新たな緊急保証制度(原材料価格高騰対応等緊急保証制度)は、原油高騰などで原材料価格や仕入れ価格が上昇しても、価格転嫁できずに経営が悪化し、必要な事業資金の調達に支障をきたしている中小・小規模企業者に対して円滑な資金供給を行うためのものです。

これまでのセーフティネット保証は、製造業、建設業など185業種が指定業種でしたが、新制度では飲食店や不動産業、加工製造業、卸売業、小売業など「545業種」にまで大幅に拡大され、制度拡充を求める中小企業をほぼすべてカバーしています。

利用者の審査では、中小企業の経営実態を十分に配慮するという基本方針が示され、例えば、2期連続の赤字で繰り越し損失を抱える場合も、赤字の要因や取引先などからの経営支援、地域社会への影響などを幅広く検討し、総合的に判断します。

また、現在、大きな問題となっている金融機関の貸し渋りにも対応しています。昨年秋に導入され、貸し渋りの一因と指摘されている「責任共有制度」の対象外とし、融資額の100%を信用保証協会が保証します。現行の「責任共有制度」では、金融機関が20%相当の信用リスクを負担しなければならず、金融機関が融資に慎重になっていました。

この新制度を活用する場合、融資の上限額は、一般保証の8000万円とは別枠で8000万円の利用が可能になります(担保がある場合には、追加で新たに2億円の保証が可能です)。


セーフティネット貸付強化 不満など聞く相談窓口開設

取引先の倒産や原材料の高騰などにより一時的に資金繰りに困っている企業に融資するセーフティネット貸付については、償還期間が延長(7年↓8年)されるなど貸し付け内容が強化。同貸付は、どんな業種の方でも利用できます。

また、新制度などの円滑な実施のため、中小企業の“現場の声”に敏感に対応します。既に、10月初旬から中小企業庁金融庁が連携し、中小・小規模企業の意見や悩みを聞く「中小企業金融に関する意見交換会」を実施しており、12月初旬までに全国150カ所で行い、その結果を取りまとめて公表する計画です。

さらに、経済産業局や商工会議所など全国約900カ所に「緊急相談窓口」を新たに開設し、信用保証協会や金融機関の対応への不満や疑問の声に対応します。


年末に向け非常にタイムリー 中小企業診断士 坂本篤彦氏に聞く

――米国発の金融危機が中小企業に与える影響は。
坂本 現在の株価下落は、投資家でない人の心理も冷え込ませます。個人消費が減速すれば当然、中小企業にも大きな影響が出ます。
加えて原材料費は高止まりです。原材料費が高騰しても、中小企業は、なかなか製品価格に転嫁できません。結局、自社の利益を削って出荷を続け、企業としての体力を消耗させてしまいます。

――新しい緊急保証制度が創設されました。
坂本 金融機関の融資姿勢が慎重になり、中小企業の資金繰りは厳しさを増しています。下請け企業の中には、経営者が自分の給与を未払いにしているところさえあります。そうした企業は、年末に資金が枯渇する可能性があったわけで、この時期に新しい緊急保証制度が誕生したことは、非常にタイムリーです。また、原材料費の高騰分を価格転嫁しにくかった業種などにも指定対象を幅広く拡大したことも大いに評価できます。今後は、この新制度の周知・広報を、ぜひ急いでほしいと思います。
(公明新聞:10月26日)