「安心の出産」へ大きく前進

全国一律の助成制度実現に期待

妊婦健診の完全無料化

 公明党がかねてから求めてきた「妊婦健診の完全無料化」が実現へ大きく動き出した。

 公明党浜四津敏子代表代行らが22日、舛添要一厚生労働相に対し、妊婦健診の無料化と就学前教育の負担軽減に関する申し入れを行った際、厚労相は妊婦健診費用について、「(厚労省が望ましいとする)14回分は無料にする」と明言し、今月(10月)末に発表される追加経済対策に盛り込む考えを示した。

 女性が健康で生き生きと働き、子育ても楽しくできる社会にしようと、公明党が推進してきた女性政策がまた一つ、現実のものとなることを喜びたい。

 妊婦健診は、(1)正常な妊娠の経過を確認(2)ハイリスク妊娠の早期発見(3)妊娠中に発症する合併症などの予防(4)胎児異常の有無の診断――など、妊婦や胎児の健康を守るために大切な役割を担っている。わが国では1965年の母子保健法の制定以降、妊婦健診が行われるようになり、周産期(妊娠22週から生後7日未満)の子どもの死亡率、妊産婦の死亡率は、ともに大幅に低下している。

 それでもなお、周産期に亡くなる子どもの数は4906人(2007年)。分娩などで一時的に重篤な状態に陥った妊産婦は死亡者の70倍以上にのぼるという調査結果もある。出産が“命がけ”であることを改めて認識すべきだろう。

 望ましい妊婦健診の回数は14回程度。医療保険が適用されないため、1回の受診に5000円から1万円程度の費用がかかり、経済的不安から子どもを授かるのをためらう女性が増えている。健診を受けていない妊婦の「飛び込み出産」が多くの医療機関から受け入れを拒否される問題も多発している。誰もが安心して出産できるよう、妊婦健診の負担を無くすことは国の責務といえる。

公明党が積極推進

 公明党は01年の小児医療提言、06年の少子社会トータルプランなど機会あるごとに妊婦健診の助成拡大を主張。これを受け、厚労省は07年度から、妊婦健診助成を含む子育て支援事業に充てる地方交付税を、前年度より約370億円増やし、約700億円に拡充。妊婦健診の実施主体である市区町村に対し、妊婦健診の公費負担は財政が厳しい場合でも「5回程度の実施が原則」との通知を出した。

 交付税の使い道は各自治体に任せられているため、助成額や方法に違いがあるものの、厚労省の今年(2008年)4月の調査では、妊婦健診の助成回数は全国平均で5・5回となり、昨年(2007年)の2・8回からほぼ倍増している。

 来年度から地方交付税を一層拡充すれば、14回分の助成は達成できるだろう。ただ、自治体間の格差を無くすことや、不交付団体への対応も考慮すべきである。また、里帰り先など住所地以外での健診や、助産所での健診も助成することで統一するなど、妊婦の立場に立った、全国一律の「完全無料化」が実現することを望みたい。
(公明新聞:10月28日)

現在、弥富市において妊婦検診の助成回数は5回、来年度は7回になります。