政局政党・民主党に怒りの抗議

JA、漁協、森林組合


「金融強化法を“政争の具”にするな!」――年末に向けて景気の一段の悪化が予想される中、政局優先の対応に終始する民主党への抗議の声が相次いでいる。

 参院で審議中の金融機能強化法改正案について全国知事会長の麻生渡・福岡県知事は先月(11月)28日、倒産増加など中小企業の業況悪化を受け、「国会においては、現在の経済状況を直視し、一刻も早い成立を強く要請する」との声明を発表した。

 ところが、民主党鳩山由紀夫幹事長は「先延ばしするつもりは全くない」としつつも、「郵政法案(の処理)が先」と、金融強化法を“人質”にした政局第一の姿勢を崩していない。

 これに関連し、民主党は先月(11月)25日、自民党の支持基盤である農協などを牽制する狙いから、農協法や水産業協同組合法などに政治的中立性の規定を盛り込む一括改正案を提出。同党は当初、金融機能強化法改正案に農協(JAバンク)などの政治的中立性を盛り込む考えだったが、「金融強化法に政治的中立性を盛り込むのは法律の性格的に困難」として、農協法などの改正案の提出に戦略を転換した。

 これに対し関係団体が猛反発。「あからさまなJA攻撃。政争の具とする行為で断固抗議する」(全国農業協同組合中央会=JA全中・茂木守会長)、「漁協の存在意義と行動の否定。怒りを持って強く抗議する」(JF全漁連・服部育弘会長)、「組合員の主体的な活動を阻害し、国内の森林崩壊を誘引するもの」(全国森林組合連合会・國井常夫代表理事会長)など次々と抗議声明が出された。

 農協や漁協は、公職選挙法政治資金規正法の範囲内で政治活動の自由が認められている。特定の団体を狙い撃ちするかのような法改正に怒るのは当然だろう。

 「100年に一度」と言われる経済危機の中、国民から早期成立が期待される金融強化法を政争の具にする民主党には、日本のかじ取りは任せられない。(弁)
(公明新聞:12月2日)