“定額給付金「地元で使って」” 計画する市町村が増加

1万円で1000円券11枚 北海道網走市
給付額に合わせた「カニセット」 ネットショップ
住民4000人全員分を発行 高知県梼原町
用紙に特産の和紙を使用 福井県越前市

総額2兆円の定額給付金を盛り込んだ国の2008年度第2次補正予算の成立を前に、地元だけで使えるプレミアム付き商品券の発行を計画する市町村が増え始めている。給付金の支給時期に併せ、値段に一定割合を上乗せした金額分使える商品券を販売して市民らに買ってもらい、地元消費を拡大しようという狙いだ。一方、全国展開する企業やネットショップでは、給付金の額に合わせた商品を販売するところも。今後、“給付金争奪戦”が激しくなる可能性もある。

 住民向けにプレミアム付き商品券の発行を計画しているのは、北海道網走市福井県越前市、長野県塩尻市高知県梼原町長崎県佐世保市など。上乗せ額は1割とするところが多いが、塩尻市は市民にアピールしようと2割を検討している。発行経費や上乗せ分は、自治体が全額負担したり、商工会議所と折半したりとさまざまだ。

 網走市は、1000円券11枚、計1万1000円の商品券を1万円で販売。市での給付金総額約6億円に対し、2億円分の発行を予定する。商工会議所に参加する企業などに対しては、商品券での買い物を割り引くといった協賛セールを呼び掛ける方針で、「給付金を何とか地域で消費してもらいたい」と期待を込める。

 越前市は用紙に特産の越前和紙を使う予定で、「偽造防止になり、産業振興にもつながる」と意気込む。給付金支給の申請書類を郵送する際、パンフレットを同封するなどPR策も工夫する。

 梼原町は、約4000人の町民全員分の商品券を発行したい考え。「病院を含め、できるだけ町内のすべての物やサービスに使えるよう工夫したい」という。

 また、給付金の寄付を呼び掛ける自治体もある。橋下徹大阪府知事は、小中学校にパソコンやカメラを配備する構想を披露。「子どもの給付金のうち5000円をみんなが持ち寄ればいい」と府民に協力を求める。東京都足立区は、給付金を受け取らない人から、ふるさと納税制度を使って新設する基金に寄付してもらい、民間非営利団体NPO)の活動支援に充てる方針だ。

 一方、企業では、給付金支給額の1万2000円や2万円に値段を合わせた「カニセット」を販売するネットショップが登場。

 10年前に子どもや高齢者らを対象に2万円の地域振興券が発行された際、家族向けに2万円や4万円の宿泊プランを発売し好評だったJTBは、今回も「給付金の支給が決まれば考えたい。国内旅行市場の活性化につなげたい」と話す。今後、各業界からプレミアム付きの商品券や記念商品の販売が相次ぐこともありそうだ。
(公明新聞:1月25日)