両院協で異例の引き延ばし 民主、「国民生活」は二の次

民主党が26日の両院協議会を舞台に異例の引き延ばし戦術を繰り広げた結果、2008年度第2次補正予算の成立は27日にずれ込むことになった。

 両院協は予算案などで衆参両院の議決が異なったときに、合意づくりをめざして開かれる。その協議の場を予算成立を遅らせるために利用する姿勢は、マスコミや識者から「民主党の手法は奇策で、時間を若干引き伸ばす抵抗にすぎない」(曽根泰教・慶大教授=28日付「日経」)と指摘され、「両院協議会の場が、審議引き延ばしの手段に使われてはなるまい」(同「読売」)と猛省を促した。

 民主党が「奇策」に手を出したのは、「一気に衆院解散に追い込む材料が見当たらないことへの焦り」(同「日経」)があり、「国会審議を引きのばし『予算の年度内成立』を重視する麻生政権を揺さぶる戦略」(同「朝日」)からという。

 しかし、「(両院協を)意図的に紛糾させたのだとすれば、政争の具にしていることをみずから証明したようなもの」(同「産経」)だ。民主党は、国民生活に直結する2次補正の早期成立より政局を、つまり「国民の利益」より「党の利益」を選んだといえる。

 さらに、報道によれば「両院協を舞台に引き延ばしを思いついたのは菅直人代表代行」(同「毎日」)で、その菅氏が、両院協をめぐる攻防が行われた26日夜の同党幹部会で「もうそろそろいいんじゃないですか」と打ち切りを提案すると、輿石東参院会長が「あなたが火を付けたんじゃないか」と反発。“できの悪い奇策”をめぐり責任をなすり合う一幕が報じられている。

 民主党の「政局優先主義」にはあきれるばかりだが、2次補正は成立しても、その財源を確保するための関連法案は、民主党の抵抗で参院で審議すら始まっていない。「関連法案をまだ人質にとろうとする発想があるなら、即刻捨てるべきだ」(同「産経」)。国民の怒りは高まっている。
(公明新聞:1月29日)