期待膨らむプレミアム商品券

定額給付金に合わせ発行へ
地元商店街は販売準備で活気
1万円で1万2000円分 鳥取市
公明、市長の決断を後押し

定額給付金の給付時期に合わせ、鳥取市は、1万円で1万2000円分の買い物ができる20%割り増しのプレミアム付き商品券の発行を決めた。定額給付金を地域経済の活性化につなげようとする同市の取り組みを追った。


定額給付金に合わせ発行へ

地元商店街は販売準備で活気

 「家計が厳しいので、定額給付金を本当に切望しています」――。鳥取市に住む安田久仁子さんは語る。何を買うか決めていないが、就職が決まった娘のスーツなどに充てたいと考えているという。「息子は『定額給付金が出たら、オレの分も使ってくれたらいいから』と言ってくれるんですよ」と笑う。

 こんな中、鳥取市は1月22日、定額給付金の給付時期に合わせ20%割り増しの「スーパープレミアム付き商品券」の発行を決定。商品券は、1万円で1000円券が12枚つづり。有効期限は3月16日から9月20日までで、鳥取商店街連合会と同市旧郡部の鳥取市東・西・南の3商工会の加盟店で使うことができる。5万冊を販売する予定で、市が15%分、商店街が5%分を負担する。


工夫して地域経済盛り上げ

 商品券の発行決定に意気が上がっているのは、鳥取市西商工会だ。同市が2004年に市町村合併を記念しプレミアム付き商品券を発行した時、人口約1万人の旧気高町で1億3000万円の商品券を回収した実績がある。今回は、割増率、有効期限、発行規模のいずれにおいても前回を上回る。「待っていてはいけない。工夫したところが勝つ」(山本光命会長)と、地元商店街での販売準備に力を入れている。


経営悪化から反転攻勢へ

 景気悪化の影響が商店の経営を圧迫している。市内のパン屋「あおぞら」の店員の森岡幸代さんは「さっぱり売れなくなった」と嘆く。売り上げが大きく落ち込み、今は、新商品の開発に知恵を絞る毎日という。「プレミアム付き商品券を客足を取り戻すきっかけとしていきたい」(同)と期待を寄せる。また、中心市街地の商店街「若桜商店街」に店を構える老舗の紳士服店「ツジ商店」の辻敏治店長も「70軒が軒を連ねる商店街。不景気のご時世だけど、商店街が結束して迫力を出していかないといかん」と商品券をテコに“反転攻勢”へと意気込む。


利用店舗の拡大が課題

 ただ、商品券が使える店舗が限られているなどの課題は残る。商品券の不正使用防止などの観点から、使用できる店舗は加盟店のみに限定される。商店街連合会の渡辺博会長は、現在、タクシーや飲食店の各組合、未加盟の商店にも参加を呼び掛け、できる限りの拡大をめざしている。


公明、市長の決断を後押し

 鳥取市の「スーパープレミアム付き商品券」の割増率は、全国的に見ても高い水準だ。特に定額給付金の給付額が30億円に上る20万人都市での実施としては、珍しい。同市の竹内功市長が導入を決断した背景には、市長が「公明党市議団の働き掛けが大きかった」と語るように、党鳥取市議団の粘り強い取り組みがあった。

 これまで党市議団は定額給付金の万全な実施を要請してきた。さらに、今年に入り、給付金を地域経済の振興につなげるため、プレミアム付き商品券の実施を提案。その際、公明新聞に掲載された定額給付金への期待の声や長崎県佐世保市のプレミアム付き商品券の発行などの事例を紹介した記事の切り抜きを手渡すなどしてきた。

 その結果、竹内市長は1月22日、20%割り増しのプレミアム付き商品券の実施を決定。27日には、商品券の発行を盛り込んだ補正予算案を発表した。

 補正予算案は、市議会3月定例会で審議される。党市議団の田村繁已団長は「定額給付金とプレミアム付き商品券が円滑に実施されるよう、さらに具体的な提案をしながら補正予算成立に全力を尽くしていきたい」と決意を語る。


全国129市町村で計画
消費拡大セールなど多彩な工夫
総務省調査


 定額給付金の実施に合わせて、プレミアム付き地域商品券の実施などを計画している市町村は現在、34都道府県、129市町村に上る。

 総務省定額給付金室が1月30日に発表した調査によれば、実施方法は、商工関係団体単独や、地方自治体と商工関係団体の共同での発行を予定。割増率は10―20%程度という。

 また、定額給付金と同額の「福袋セール」などを販売する消費拡大セールを予定している地域は8市町(8道県)となっている。

 今後、実際に定額給付金の実施に向けた動きが本格化すれば、さらに拡大するものと思われる。