がん検診の交付税倍増

「受診率50%」達成へ支援
公明が強力に推進 自治体の取り組みに期待

総務省はこのほど、がん検診を行っている市町村に配分する2009年度の地方交付税措置を前年度の649億円から1298億円に倍増することを決定した。現在、市町村が実施しているがん検診は、胃がん、肺がんなど5種類。がん対策の予算が十分確保されることで、各市町村は、戸別訪問による受診の呼び掛けや休日受診の実施などが可能となり、受診率の大幅アップが期待される。

 がんは日本人の死因の1位を占め、年間に約34万人(07年)が亡くなっている。しかし、がん検診受診率は、例えば、欧米並みに急増している大腸がんについては、男性27.5%、女性22.7%(07年 国民生活基礎調査)と低迷していた=グラフ参照。

 公明党の推進などで07年6月に閣議決定した「がん対策推進基本計画」は、がんを早期発見するため、検診受診率の目標を「5年以内に50%以上」としている。計画を踏まえ各都道府県は、がん対策推進計画を策定しているが、財政悪化もあり、取り組みが遅れているのが現状だ。

 地方交付税は、地方自治体間の財政力格差を国が調整するために設けられているが、使途が限定されている補助金などと違い、各自治体が自由に使える。がん検診事業に使うかどうか決めるのは市町村であるため、今後、各地方自治体において、がん検診向上への積極的な取り組みに期待がかかる。

  公明党は05年6月、党内に「がん対策プロジェクトチーム(PT)」を設置し、視察や勉強会を重ねてきた。06年1月には、同PTを「がん対策推進本部」(本部長=浜四津敏子代表代行)に格上げし、同年3月、党独自の法案要綱骨子を発表するなど、がん対策を強力に推進してきた。

 同本部は08年5月、「がん対策推進基本計画」の進ちょく状況について、厚生労働省総務省から説明を受けた際、浜四津敏子代表代行や井上義久副代表らが、受診率50%以上を達成するため、国と地方自治体、企業などが一体となった推進を急ぐよう要望。地方交付税の増額も機会あるごとに求めていた。


対策強化へ大きな一歩
井上副代表

 公明党は、がん治療の先進国をめざして「がん対策基本法」の成立をリードするなど、これまでがん対策に一貫して取り組んできました。

 しかし、「がん対策推進基本計画」に盛り込まれた、がん検診の受診率の目標である「5年以内に50%以上」については、このまま手を打たないと達成が難しいことが明らかになりました。

 そこで総務省に対し、がん対策は国策なのだから、もっとしっかり取り組んでほしい、具体的には、地方自治体の財政が厳しいので地方交付税をもっと上げるべきだと強く申し上げました。

 がん対策は何といっても早期発見が重要です。そのためには受診率を上げることが急務です。

 今回の予算措置は、がん対策にとって大きな一歩。今後は各都道府県、市町村に頑張ってもらい、受診率の大幅なアップを期待します。
(公明新聞:2月27日)