正規雇用との均等処遇急げ

子育てとの両立図る「働き方改革」を

非正規の低い結婚割合


 20〜30代の非正規雇用の独身男性が2002〜07年の5年間に結婚した割合は約1割で、正規雇用の半分にとどまることが、厚生労働省の「21世紀成年者縦断調査」(11日公表)で明らかになった。子どもを産んだ女性の割合も、非正規は正規のほぼ半分だった。

 非正規で目立つ低賃金や不安定な雇用が、非婚化や少子化の一因となっている実態が改めて浮き彫りになったといえよう。

 調査は少子化対策など政策の基礎資料とするため、02年10月末時点で20〜34歳の男女を対象に質問票を送る方法で毎年実施。6回目の今回は、07年に調査し回答のあった約1万6000人分を分析している。それによると、02年調査時に独身だった男性が、その後5年以内に結婚した割合は21・7%。結婚前の就労状態別で見ると、正規雇用の男性が結婚した割合は24・0%だったが、非正規は12・1%、無職は9・0%と低い。

 女性は、就労状態の違いで結婚した割合に大きな差はなかったが、5年間で夫婦が子どもをもうけた割合は、妻が正規雇用だと43・0%、無職47・6%なのに対し、非正規の場合は22・4%と低かった。出産後、同じ職場で継続して働く割合も、正規は67・3%、非正規は22・9%と大きな開きが出た。

 これは、非正規雇用が正規と比べて給与が低いだけでなく、育児休業制度などの福利厚生、待遇面でも多くの差があることが背景にあると考えられる。

 日本の労働市場は1990年代後半の金融危機をきっかけに大きく変質し、非正規雇用の割合が約35%を占めるまでになった。また、パートやアルバイトなど短時間労働者が主だった非正規雇用は、98年以降、契約社員や嘱託、派遣など期間を定めて雇われる有期雇用の割合が急増した。

 このような非正規雇用の増大によって、労働市場の二極化が進行。正規雇用者は、30〜40歳代の男性を中心に週60時間以上の長時間労働が急増している。


不安定労働者が増加


 この二極化の進展が、結婚や出産を一層困難にしていることは、公明党が2006年にまとめた少子社会トータルプランでも指摘した通りだ。まして昨年来の雇用情勢の急激な悪化で、非正規を中心とした雇用調整が短期間で行われ、不安定労働者が増えたことは、問題をさらに深刻化している。

 雇用の量的拡大と質的向上を同時に進めることが求められている現在、二極化の弊害を解消するための抜本的対策として、正規と非正規の均等処遇を実現することが重要だ。非正規も出産時に例外なく育児休業制度を利用できる制度改革など、トータルプランで提唱した政策を大いに前進させたい。

 調査では、夫の休日の家事・育児時間が長いほど、第2子以降の生まれる割合が高くなる傾向も分かった。ぜひ、子育てと仕事を両立させる「働き方改革」も推進していきたい。
(公明新聞:3月18日)