「環境と経済」克服へ意欲示す

太陽光発電世界一」へ 高い目標示せ

日本版グリーンニューディール


地球温暖化対策を喫緊の課題である経済活性化対策と結び付ける、「日本版グリーンニューディール」構想が見えてきた。18日に開かれた経済財政諮問会議で斉藤鉄夫環境相公明党)は、1月から策定作業を進めてきた成果を「緑の経済と社会の変革」としてまとめ、素案を提示した。

同構想については、公明党も全面的にバックアップ。太田昭宏代表らが1月23日に麻生首相に提言を手渡したほか、同27日には党地球温暖化対策本部と環境部会が斉藤環境相に要望書を手渡すなど推進してきた。

素案は、日本の環境資源を活用しつつ(1)社会資本の変革(2)消費の変革(3)投資の変革――などを進めることで、「環境危機と経済危機を同時に克服するという強いメッセージを発出」するとした意欲的な内容となっており、大いに評価したい。

このうち「社会資本の変革」は、国や地方公共団体が率先して環境に配慮した「緑の公共事業」を推進。公的施設への太陽光発電設備の設置や施設の建て替えなどのエコ改修を進めるとともに、照明機器のLED(発光ダイオード)化などで省エネルギー化を図る。また、森林整備や環境保全型農業の推進などで、人材の育成と地域の活力を引き出す。

また「消費の変革」は、省エネ家電の購入促進を図るために、省エネ家電購入時に「エコポイント」を付与する制度を導入。電気自動車などの次世代自動車の導入支援や、省エネ住宅の普及も急ぐ考えだ。さらに、環境・省エネ投資への無利子融資制度の創設などで、「投資の変革」を行うとしている。

かつて、太陽光発電の分野で世界のトップを走っていた日本だが、2005年に太陽光発電累積導入量でドイツに抜かれ、07年には約2倍に差が開いた。その要因は、コスト高だ。

太陽光発電システム設置のコスト回収は、現時点で20年程度かかる。ドイツでは、太陽光発電電力を高く買い取る制度を導入し、コスト回収期間を大幅に減らしたことが、爆発的な拡大につながった。日本も来年度からの導入を検討しているが、遅きに失した感は否めない。


「スピードが重要」


また、総発電量に占める再生可能エネルギー発電量割合の将来目標でも、これまでの日本には全く覇気がない。05年時の再生可能エネルギー割合は、日本もアメリカ、ドイツも9〜10%とほぼ同じだが、20〜25年の目標値は2・5〜3倍近くも引き離されている。これでは「太陽光発電の世界一奪還」は難しい。素案が指摘している通り、爆発的な普及拡大に向けた高い目標設定が不可欠だ。

経済財政諮問会議麻生首相は、「太陽光発電や電気自動車などの分野において、世界をリードすることをめざす」として、そのために「スピードが重要」と語ったが、その通りだ。待ったなしの課題克服へ、ぜひとも果敢な取り組みを求めたい。
公明新聞:3月20日)