太陽光発電 世界一奪還めざす


電力買取りで新制度
価格は従来の2倍15年以内に設置費回収
公明が推進


太陽光発電の余剰電力買取制度


ヨーロッパで広く実施され、自然エネルギーの普及推進へ大きな力となっている電力の固定価格買い取り制度の日本版が導入に向け動き出しています。
 経済産業省は先ごろ、家庭の太陽電池などで発電した電力を電力会社が買い入れることを義務化し、同時に買い入れ価格を現在の約2倍にする新制度を導入する方針を発表しました。具体的な導入時期や制度の詳細は検討中ですが、2010年度のできるだけ早い時期の導入を目指しています。

 この制度と、今年1月から復活した国による補助金制度があいまって、太陽光発電が大きく普及していくことが期待されています。政府は太陽光発電を2020年に現状の10倍とする目標を掲げていますが、この制度導入はそのおおきな推進力となりそうです。

 現在、家庭で太陽光などにより発電された電気が余った場合、電力各社は各家庭に売る場合と同額の1キロワット時当たり23〜25円程度で自主的に買い取っています。新制度では買い上げ価格を当面、現行の2倍に引き上げるとともに、10年間にわたって買い取りを義務付けています。

 導入する太陽光発電設備の規模にもよりますが、太陽光発電設備を導入しようとすると、現在、平均250万円ほどかかります。このうち50万円ほどは、公明党の強い主張を受けて08年度第1次補正予算により、この1月13日から復活した国の補助金と各地の地方自治体による補助金などで賄えます。
 発電した電気の自家消費分と電力会社売り渡し分を半々とすると、現行では太陽光発電設備を導入しなかった場合に比べ15年で約130万円得することになります。10年間買い取り額を2倍にする今回の制度では、得するのは約200万円ほどと試算され、15年でもとが取れる計算です。

 15年ほど前には600万円台だった太陽光発電設備の価格が現在は半分以下。今後導入する家庭が増えれば、技術開発やスケールメリットによる費用抑制が見込め、「もとが取れる期間」のさらなる短縮も期待できます。
 電力会社は、この制度によるコスト増加分を電気料金に転嫁する方針で、経産省は、一般的な家庭で毎月の電気料金が現在より数十円、最大100円程度上がるとみています。地球温暖化対策は、一部の人や国で実施しても効果が上がらず、全員参加型で取り組む必要があります。

 斉藤鉄夫環境相公明党)はこの制度導入について「これを評価し、大歓迎したい」とし、「エネルギー政策、環境政策の連携・協力を進め、太陽光発電の世界一奪還、二酸化炭素(CO2)の大幅削減に努めてまいりたい」との談話を発表しました。
 固定価格買い取り制度は、例えばドイツで1990年に始まりました。再生可能エネルギー法に基づき2000年からは、太陽光発電による電気を1キロワット時当たり日本円で61〜78円と、一般家庭向け電気代相場の約3倍で買い上げる制度に大幅拡充。爆発的に太陽光発電が普及し、05年には設置太陽光発電設備の発電可能量ベースで日本を抜き、世界一になりました。

 公明党は、再生可能エネルギー普及加速のため固定買い取り制度の早期導入を、国による補助制度の復活とともに、国会の場や政府への申し入れなどで強く訴えてきました。
(公明新聞:3月21日)