景気浮揚へ1兆円の大減税

住宅、エコカーなど内需拡大を大胆に

税制改正関連法案


 資本主義経済にとって景気循環は宿命とはいえ、これほどの急激な変化はあっただろうか。

 一昨年まで戦後最長の好景気が続いた日本経済は、今や戦後最悪の水準に落ち込んだ。景気悪化のスピードは驚くほど速く、これを食い止める対策の実施は、まさに時間との闘いだ。

 こうした中、公明党は景気浮揚へ1兆円規模の減税を盛り込んだ2009年度税制改正関連法案の成立を急ぐ。同法案は18日に参院で審議入りしたが、厳しい経済情勢を考慮すれば、一刻も早い成立が不可欠だ。

 今回の減税の特徴は、内需の大胆な掘り起こしを重視した点にある。世界経済の減速で輸出依存型の成長が難しい今、内需拡大は日本経済のいわば急所。将来の成長の方向性を示す観点からも減税による内需拡大は理にかなったものだといえよう。

 減税項目の中で、特に目を引くのが住宅ローン減税の延長・拡充だ。実施期限を13年まで5年間延長し、減税額を過去最高水準に引き上げた。

 最大控除額は一般住宅で500万円、長期優良住宅(200年住宅)で600万円。中低所得層の負担軽減のため、所得税から引き切れない分は住民税からの控除も可能にした。自己資金で省エネ改修やバリアフリー改修をした際は、200万円(太陽光発電装置の設置は300万円)を上限に工事費用の10%を所得税額から差し引く。

 住宅産業はすそ野が広く、減税の波及効果が大きい。国土交通省の試算によれば、住宅ローン減税の経済波及効果は年約4兆円にも上るという。減税が消費者の住宅購入意欲を喚起し、地域経済振興への起爆剤になるとの期待が高いだけに、素早い実施が求められる。

 一方、環境と成長を両立させた「エコカー減税」への関心も高い。3年間に限り、ハイブリッド車などに対する自動車重量税と取得税を免除するほか、環境性能に応じて両税を軽減する。基準に適合した車の保有者への重量税軽減も盛り込んだ。

 減税を契機に、エコカーへの需要が高まれば、環境をめぐる自動車メーカー間の競争は激化し、一段と高性能なエコカーが誕生するだろう。こうした競争力の強化を大いに期待したい。


中小企業支援も手厚く


 今回の減税では、景気悪化のしわ寄せが大きい中小企業への支援を手厚くしたのも特徴だ。

 年間所得が800万円以下の中小企業を対象に、法人税の軽減税率を2年間限定で22%から18%に引き下げるとともに、赤字に転落した場合、前年度に納めた法人税が戻る「繰り戻し還付」をすべての中小企業を対象に復活させた。後継者に相続する非上場株式への相続税は8割の納税猶予が可能になる。

 資金繰りなどで苦境にあえぐ中小企業が安心して事業を行うには、支援の拡充が待ったなしだ。全企業の99%を占め、雇用の7割を担う中小企業の成長なくして、景気回復はあり得ないことを肝に銘じたい。
(公明新聞:3月23日)