新経済対策 ポイント解説③

雇 用

安全網の新設で生活守る


 有効求人倍率が落ち込んでいるため、失業給付の受給期間を過ぎた長期失業者が増加。また、雇用保険は週20時間以上働き、雇用見込み期間が6カ月以上必要なため、労働時間が短い非正規労働者の中で受給対象にならないケースが増えています。
 そこで、雇用保険生活保護の間の“第2のセーフティーネット(安全網)”として、「緊急人材育成・就職支援基金(仮称)」を創設し、失業給付を受けられない人を対象に職業訓練、再就職などへの総合的支援を拡充。
 職業訓練期間の生活保障として、「訓練・生活支援給付(仮称)」制度を創設します。給付額は月10万〜12万円で、8万円を上限とする貸し付けも行います。


休業手当の助成率9割に


 雇用維持に努める企業を支援する雇用調整助成金の助成率が3月30日から拡充され、労働者の解雇などを行わない場合、中小企業への助成率が10分の9(従来5分の4)、大企業は4分の3(同3分の2)に引き上げられました。
 新経済対策の裏付けとなる2009年度補正予算案に、助成率引き上げの予算が計上されます。
 さらに、休業や残業削減を組み合わせることで解雇を防ぐ「日本型ワークシェアリング」推進のため、雇用調整助成金の一種として「残業削減雇用維持奨励金」を暫定的に創設。
 奨励金は、有期・派遣労働者など非正規労働者1人当たり、大企業が20万〜30万円、中小企業では30万〜45万円の助成を行います。


基金に3000億円積増し


 離職を余儀なくされた非正規労働者や、中高年齢者の生活支援を一層強化する観点から、新経済対策では、08年度第2次補正予算に盛り込まれた緊急雇用創出事業をさらに拡充。
 都道府県に創設された基金に3000億円を積み増し、雇用の受け皿をさらに充実させます。
 積み増し分は、人材確保などが強く社会から求められている介護や福祉、子育て、医療、教育、治安・防災などの分野に重点配分。これを受け、地方自治体は民間企業やシルバー人材センターなどに事業を委託し、雇用・就業機会の創出を進めます。非正規労働者や中高年齢者にとって“次の雇用”までの“つなぎ”となる取り組みが期待されます。
(公明新聞:4月18日)