「安心」実現し、未来ひらく 早わかり「新経済対策」


政府・与党が10日にまとめた新たな経済対策(経済危機対策)には公明党の主張が数多く盛り込まれています。財政支出が15.4兆円(事業規模56.8兆円)に上る過去最大規模であり、75兆円規模の2008年度1次、2次補正、09年度予算での対策と合わせ、132兆円規模の経済対策です。その中から、生活の安心を守り、未来をひらく主な対策を紹介します。


「環境」で需要創出
スクール・ニューディール


 新経済対策では、「環境」を柱とした需要創出を突破口に中長期的な経済成長を図ります。

 「スクール・ニューディール構想」を推進します。全国の公立小中学校3万2000校を中心に、太陽光発電用のパネル設置をはじめエコ改修、電子黒板など情報通信技術(ICT)環境の整備、エアコン設置、校庭の芝生化のほか、耐震化も大幅に前倒しします。


環境対応車エコカー)の普及


 13年を超えて使用した自動車を廃車し、2010年度燃費基準達成車に買い替える場合、普通車で25万円、軽自動車で12万5000円を補助。廃車を伴わなくても、05年度排出ガス基準を四つ星(75%以上低減)かつ10年度燃費基準15%以上の新車購入にも普通車で10万円、軽自動車で5万円を補助。


グリーン家電の購入促進


 「統一省エネラベル」が四つ星以上のグリーン家電(エアコン、冷蔵庫、テレビ)を購入すると、購入価格の5%(地デジ対応テレビは5%上乗せし10%)を「エコポイント」として受け取れる制度を実施。同ポイントは他の買い物に使えます。また買い替える場合はリサイクル料分(平均3%)がさらに上乗せされます。



生活を守る雇用対策


 雇用の維持や創出、非正規労働者への新セーフティーネット(安全網)構築など緊急雇用対策を強化します。


雇用調整助成金を拡充


 従業員を解雇せず休業などで雇用の維持に取り組む企業に助成する「雇用調整助成金」を大幅に拡充。助成率の引き上げ(3分の2補助を4分の3補助に、中小企業は8割補助が9割補助に)とともに、ワークシェアリングに取り組む企業を支援するほか、年間支給限度日数の撤廃などを行います。


再就職支援・能力開発


 雇用保険を受給していない離職者が職業訓練を受ける間も生活できるように、月10〜12万円の給付と貸し付けを行う「訓練・生活支援給付」制度を創設。

 住居や資金を持たない離職者などへの10万円以内の“つなぎ資金”や、就職活動期間の住宅手当・生活資金融資を創設し、再就職を支えます。


派遣労働者の保護


 派遣先による中途解除に伴う損害賠償の確保や、派遣会社の要件の厳格化などにより、安易な派遣切りを防止。また妊娠・育児休業の取得による解雇などの相談対応や、内定取り消し企業名の公表などで、労働者を守ります。




中小企業支援策を強化


 「景気の底割れ」を防ぐため、企業の資金繰り支援を拡充・強化など、金融面で万全の措置を講じます。


緊急保証制度など拡充


 約45万社(4月14日現在)に活用されている「緊急保証制度」の保証枠を20兆円から30兆円に拡大。

 セーフティネット貸付の貸付枠も5・4兆円拡充され、15・4兆円に拡大します。また、元本返済猶予など既往債務の条件変更への積極的な対応も行うこととし、中小企業の資金繰りを助けます。


中堅企業の資金繰り支援


 中堅・大企業への支援を大幅に拡充。政策投資銀行商工中金が行う長期資金貸付枠を2兆円から10兆円に拡大するほか、政投銀が行う保証枠5兆円と、中小企業基盤整備機構が主として中堅企業向けに行う債務保証枠2兆円を創設します。


住宅ローンの借り入れ容易に


 今年から始まった過去最大規模の住宅ローン減税。さらに住宅購入を促進するため、“頭金なし”で住宅ローンが借りられる10割融資の実施や、民間金融機関が行う住宅ローンに対して住宅金融支援機構が100%保険でカバーする制度を導入し、住宅ローンの借り入れを容易にします。



子ども・女性・高齢者


 子育て支援の拡充や、地域医療の再生、介護の機能強化に重点的に取り組み、内需拡大の基盤となる「生活の安心」を確保します。


女性特有のがん検診無料化


 一定年齢の女性に、子宮頸がんと乳がんの検診料の自己負担を免除します。子宮頸がんが20歳、25歳、30歳、35歳、40歳。乳がんが40歳、45歳、50歳、55歳、60歳の女性で、健康手帳を交付し、無料のクーポン券が配布されます。


子育て応援手当第1子から


 「子育て応援特別手当」の対象を第1子まで拡大。小学校就学前3年間の子どものいる家庭に対して、対象の子ども1人当たり3万6000円を支給します。


修学困難な学生・生徒支援


 家計が急変し修学が困難になった学生・生徒に対する授業料減免や奨学金事業などへの緊急支援を行います。


安心の医療・介護制度に


 地域医療の基幹となる医療機関の機能強化や、未承認薬の治験・審査の集中的実施などを行い、「生活の安心」を守ります。介護職員の処遇改善やスキルアップに取り組む事業者へ1人当たり平均月1万5000円の給与引き上げとなる金額を助成します。


地域活性化を推進
安心と活力のあるまちづくりを支援


 安心と活力ある地域の実現へ、まちづくり支援や活性化策を推進します。


●道路・港湾・空港整備


 三大都市圏環状道路と主要都市の高規格道路など地域間を結ぶ道路整備を進めます。また、スーパー中枢港湾の機能強化や羽田空港の滑走路延伸などを図り、地域連携と競争力強化の基盤を整備します。


●防災・バリアフリー


 道路橋や堤防、上下水道などの耐震化を進めるとともに、ゲリラ豪雨や洪水・高潮などの災害対策を進めます。また、駅・道路のバリアフリー化、駅のホームドアを整備し、安全なまちづくりを実現します。


●地方負担の軽減へ交付金


 公共事業の追加に伴う地方負担軽減のため、地方自治体の負担額に応じて交付金(1・4兆円)を交付します(平均で地方負担分の9割を軽減)。地球温暖化少子高齢化への対応など、将来に向けた事業を積極的に実施できるよう1兆円の交付金で支援します。


農林漁業の「底力」発揮
食料自給率の向上と基盤の強化へ


 農地の有効利用や担い手の確保、森林資源の整備と活用で、農林漁業の「底力」を発揮し、食料自給率の向上や雇用創出を進めます。


●農地を効率的に利用


 バラバラの農地を面的にまとめ、農地の有効利用を行う農地集積を加速化するため、農地を貸し出した農地所有者へ交付金を交付します。また、水田のフル活用へ、米粉用米や飼料用米、麦・大豆などの戦略作物の作付けを支援し、生産を強化します。


●森林・林業の活性化


 間伐の促進と林内路網の整備、地域材の需要拡大を進め、森林資源を核とした地域産業を再生します。首都圏近郊などを中心に3年間で300万本のスギを伐採し花粉発生の少ない広葉樹に植え替えます。


水産業の競争力を向上


 藻場や干潟の整備、漂着・漂流物の除去処理、漁業への就業促進と生産性向上のための施設・設備の導入などを図り、水産業を活性化します。

(公明新聞:4月19日)