新経済対策 ポイント解説④

農業

担い手へ農地集積を促進


 新経済対策(経済危機対策)に盛り込まれた農林水産関連予算は1兆302億円に上ります。将来にわたり、持続的な食料供給を可能にする農業基盤の強化を軸にしています。

 具体的には、農地の効率的な利用をはかる「農地集積加速化事業」に2979億円を計上。農地を貸したい小規模・高齢農家に、10アール当たり年間1万5000円を交付し、担い手に農地を貸しやすい環境を整えます。また、担い手の確保や育成のため、農業法人などが就農希望者に行う実践研修「農」の雇用事業も大幅に拡充。農林漁業セーフティーネット資金など経営支援も充実させるとともに、都市部の直売所の整備や地産地消農商工連携事業の拡充で、農産物の販売を促進します。


水田フル活用、生産振興


 わが国の食料自給率は40%(カロリーベース)で、小麦・大豆等の穀物などを海外に大きく依存しています。そこで、生産基盤である水田をフル活用し自給率アップをめざします。このため、1168億円の予算を確保。自給率が低い麦や大豆などの作付け拡大に最大で10アール当たり1万5000円を、米粉用米や飼料用米には同2万5000円を追加的に助成します。米粉・飼料用米の新規拡大分については、既成の水田等有効活用促進対策交付金による最大同5万5000円と合わせて8万円が助成されることになり、農家の積極的な作付けが促されます。

 また、畜産や水産物の生産性向上に対する支援も大幅に拡充され、わが国の食料自給率の向上をはかります。


温暖化防止へ森林を整備


 林業関連予算は2537億円を確保しました。地球温暖化防止のため、二酸化炭素(CO2)の森林吸収源対策の目標達成に向けて、間伐や路網の整備等に充てられます。

 森林整備事業としては、790億円を追加。併せて、間伐・路網整備に対する定額助成として、800億円を計上しています。これらの定額助成によって、森林所有者は経済的な負担なく間伐ができるようになり、森林整備が加速することが期待されています。

 担い手確保・育成対策としては、森林組合などが新規採用者に森林整備に必要な技能・技術を研修する「緑の雇用」や定着対策などが拡充されました。また、農林水産関連施設等への太陽光パネルの設置やバイオマス施設の整備をはかります。
(公明新聞:4月20日)