まず水際での「防止」徹底せよ

国・自治体、民間含め、備えを万全に

新型インフルエンザ


 専門家の間で「起こるか、起こらないか」ではなく、「いつ起こるかが問題」と指摘されていた新型インフルエンザの「パンデミック」(世界的大流行)が現実味を帯びつつある。
 世界保健機関(WHO)は27日の第2回緊急委員会で、メキシコを中心に感染が広がる豚由来のインフルエンザを、世界的大流行につながる恐れのある「新型インフルエンザ」と認定し、流行についての警戒水準(フェーズ)を従来から一段階上のフェーズ4に引き上げた。
 フェーズ4は、人から人への感染が継続して地域レベルで発生することが確認され、大流行に移行する可能性があることを示す。WHOのチャン事務局長は同日、「広い範囲でウイルスが確認されたことを考えると、(新型インフルエンザの)発生を封じ込めることは不可能だと思われる。いかにして発生を(最小限に)抑えていくかに、対策の焦点を移していかなければならない」との声明を発表した。
 日本政府は28日、WHOの声明を受け、麻生太郎首相を本部長とする対策本部を設置。検疫体制の一層の強化などを柱とする「基本的対処方針」を決定した。今こそ、世界各国が連携し、感染の広がりを食い止める迅速な対応が求められる。
 公明党は25日、メキシコと米国で豚インフルエンザの人への感染が確認されたことを受け、党対策本部をいち早く設置。27日には初会合を開き、政府から世界の感染の現状と関係各省の対応状況について聞き、意見交換した。この中で公明党から政府に対し、ウイルスの国内侵入を防ぐため、空港や港湾などにおける検疫や入国審査など水際対策の徹底・強化に万全を期すよう要望。また、国民生活でパニックを引き起こさないための適切な情報提供や早急なワクチンの製造などを要請した。
 政府は、今年2月に改定した「新型インフルエンザ対策行動計画」に沿って、メキシコへの渡航延期の勧告や、同国から入国した感染者の隔離などの水際対策に重点を置いて対処する方針だ。同国から入国する外国人へのビザ発給審査の厳格化などの措置も取る。
 また、国内での感染者発生に備え、保健所への「発熱相談センター」や、医療機関への発熱外来の設置を準備する。
 WHO発表などによると、感染もしくは感染の疑い例のある国は、メキシコを中心に米国、カナダ、英国、スペイン、韓国、ニュージーランド、ベルギー、ペルー、イスラエルなど多数に上り、大流行が懸念される。


冷静な対応が必要


 とはいえ、国内では今すぐ感染が拡大する状況ではない。風評被害を防止するのも重要な課題だ。だが、事態は刻々と変化する。ニュース報道を注視し、正確な情報に基づく冷静な対応が必要だ。マスク着用や手洗いなど日常の予防も心掛けたい。自治体や企業などは、万一の事態に備えた対応策の確認と検討が急がれる。

(公明新聞:4月29日)