問われる「政権担当能力」

新体制でも政治資金の説明責任免れぬ

鳩山民主党


 小沢一郎前代表の突然の辞任に伴う民主党代表選が16日に行われ、鳩山由紀夫新代表が選出された。民主党の代表選が注目を集めたのは、「政権交代」を掲げる野党第1党が、どのような政策を掲げて新出発しようとしているのか、という点に国民の関心があったからだ。そう考えると、今回の代表選は、民主党政権担当能力を示すのにふさわしいものだったと言えるかどうか、疑問が残る。

 小沢前代表をめぐる政治資金問題について、国民の多くが「体制が変わっても、その説明責任を免れるものではない」と見ている。小沢氏がなぜ西松建設から過去十数年の長きにわたって総額約3億円もの巨額献金を受け取らなければならなかったのか、との疑問はいまだに解明されていない。建設業界からの巨額献金という古い自民党の金権体質を思わせる問題は、「やましいことはない」と強弁することで、すまされる問題ではない。

 党首選に至る過程の中で、民主党として「政治とカネ」に明確なケジメをつけられなかったことも踏まえて、17日付の各紙の社説では、一斉に「小沢路線踏襲は理解されるか」(読売)、「傀儡」(産経)などの厳しい指摘が並んだ。

 「政治とカネ」の問題で国民の一定の理解を得られる説明責任を尽くすことができるか、新民主党としての自浄能力が問われていると自覚すべきだろう。

 政権担当能力という点に関して、国民が最も不安視しているのは民主党の政策だ。代表選の過程で、鳩山新代表は農家への戸別所得補償や子ども手当など、従来の民主党の公約を大筋踏襲する考えを示したが、これらの政策に対しては、各方面からすでに財源問題などで多くの疑問が呈されている。

 また、海上自衛隊によるインド洋での給油活動や日米同盟の重要性をめぐる考え方など、民主党は、安全保障政策でも一枚岩とは言い難い。


補正予算の早期成立を


 「衆院選政権交代がテーマではなく、政権担当能力が問われる」(公明党太田昭宏代表)選挙だ。

 厳しい経済情勢の下、鳩山新体制の政権担当能力に関して、まずは、今年度補正予算案の審議が試金石となる。今週には、13日に衆院を通過した補正予算案の参院審議が始まる。

 政局優先の政治が経済の混乱を深める事態はあってはならない。その意味から、最優先課題の経済危機を乗り越えるための補正予算案の早期成立こそ、国会の責務であり、社会の要請である。新民主党補正予算案とその関連法案に責任ある対応をとれるかどうかを注視したい。

 新体制の民主党には、鳩山新代表が党首討論の開催にも前向きの姿勢を示していることからも、野党第1党として、「政権交代」を声高に叫ぶだけでなく、日本の苦境打開に向け、政策を戦わせる建設的な国会論戦こそが強く求められている。
(公明新聞:5月18日)