きょうから裁判員制度

刑事事件審理に国民が参加


裁判員法が21日施行され、国民が刑事事件を裁判官とともに審理し、判決を出す裁判員制度が始まった。司法に対する社会常識の反映と信頼向上が最大の目的で、同日以降に起訴され、殺人や強盗致死傷など同法が規定した重大事件の1審が対象だ。第一号の裁判員裁判は、公判前の争点整理や選任手続きを経て、早ければ7月下旬に開かれる見通し。

 裁判員に選任されれば、参加は法律上の義務となる。制度に対する反対意見や死刑選択、守秘義務への懸念といった裁判員を取り巻く課題がある中、国民参加をうたった司法制度改革の「本丸」が動きだす。

 対象事件は起訴後、裁判官と検察官、弁護人の3者による公判前手続きで争点が整理される。第一号の裁判は起訴事実に争いがなく、争点が量刑に絞られた事件となりそうだ。

 今年(2009年)の裁判員候補者は全国で約29万5000人。審理日程が決まれば、地裁は候補者名簿からくじで選んだ候補者に、初公判の6週間前までに呼出状を発送する。候補者数はケースにより異なるが、一事件50人から100人程度。裁判長の面談とくじで裁判員が選ばれ、初公判に臨む。

 裁判員裁判は原則、裁判官3人、裁判員6人で審理。初公判から判決までは連日開廷される。最高裁によると、これまでの統計から7割の事件は3日以内で終結するとしている。

 有罪か無罪か、有罪の場合の量刑については、裁判官との評議を通じ、過半数の意見で決まるが、結論は裁判官、裁判員双方の意見を含むことが必要。裁判官が全員無罪とした場合、有罪が過半数でも無罪となる。

 裁判員法は、裁判員が評議での自他の意見や多数決の内容、関係者のプライバシーを漏らすことを罰則で禁じている。判決後も結論の当否を口外できない。

(公明新聞:5月21日)