新型インフル 患者数で対応2分類

一般病院での診察も
公明、自民の要請踏まえ
政府が新たな指針決定


政府は22日午前、麻生太郎首相と全閣僚出席の新型インフルエンザ対策本部(本部長・首相)を首相官邸で開き、国内での感染拡大を踏まえた新たな指針を決定した。全国一律だったこれまでの対応を見直し、感染拡大の程度に応じて地域を二つに分類。患者が急増した地域では、強毒性の鳥インフルエンザを前提とした対策を緩和し、一般の病院での診察や、重症患者以外の自宅療養などを認めることとした。自民、公明の与党対策本部が18日に申し入れた内容が反映されている。

 首相は冒頭、「急激に患者が増えた一部地域では、医療機関の対応に困難が生じている。地域の実情に即した柔軟な対応を取れるようにすることが重要だ」と強調。引き続き国民への迅速な情報提供に努めるよう指示した。

 新たな指針では、感染者が確認されていないか、まだ少数の地域については、現行の対策を継続する。一方、大阪府兵庫県のように患者が急増した地域では、感染症指定医療機関以外の一般の病院での診察や、軽症患者の自宅療養などを認める。一般病院での診察は、院内感染防止策を講じることを条件とする。

 感染が少ない地域で児童・生徒に患者が発生した場合、市区町村の一部または全部で臨時休校とするが、既に感染が広がった地域では季節性インフルエンザへの対応と同様に、それぞれの教育委員会や学校の判断で休校する。

 また、水際対策を縮小し、メキシコ、米国、カナダからの到着便で実施してきた機内検疫は原則として中止。感染者の席の近くに座っていた乗客らを7日間留め置く「停留」も取りやめた。

 一方、与党新型インフルエンザ対策に関するプロジェクトチーム(PT)は22日、衆院第1議員会館で、政府が決定した新指針について、関係省庁からヒアリングを行った。

 会合では、18日に与党対策本部・PTが政府に申し入れた内容に沿って、各省庁の対応状況を確認。

 その上で、修学旅行の中止などで生じるキャンセル料などが保護者の負担とならないような財政措置や、観光地への風評被害対策などを協議。国の予算執行による対応のほか、今年度補正予算案に計上している「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」(1兆円)の活用などで当面対処できるとし、不足分は予備費での充当を申し合わせた。

 また、公明党からは、重篤化して死亡する事例がある糖尿病・ぜんそくなど基礎疾患のある人や妊婦に対し「入手困難となっているマスクや抗ウイルス薬が届くよう配慮すべきだ」との意見が出された。

(公明新聞:5月23日)