輸出、生産などが持ち直す

切れ目ない対策で本格的回復めざす

景気底打ち宣言


 政府は先週17日発表した6月の月例経済報告で、景気の基調判断を2カ月連続で上方修正、「景気は、厳しい状況にあるものの、一部に持ち直しの動きが見られる」として、昨年12月以来続いた「悪化」の表現を7カ月ぶりに削除。与謝野馨経済財政担当相は「(景気は)底を打ったと強く推定できる」として、事実上、景気底打ちを宣言した。

 また、内閣府財務省が22日発表した4〜6月期の法人企業景気予測調査によると、大企業(全産業)の景況判断指数はマイナス22・4と、過去最低だった1〜3月期(マイナス51・3)から大幅に改善、景況感は最悪期を脱しつつあることがうかがえる。

 景気の下げ止まりの傾向をもたらした背景には、内外の需要拡大がある。昨年9月以降の経済危機で世界的に需要が急減、在庫圧縮、雇用調整の嵐が吹き荒れる中、政府・与党は昨年10月から今年3月まで、2008年度第1次補正予算、同第2次補正予算、09年度予算・税制改正によって総額75兆円の景気刺激策を実施した。さらに先月成立した09年度補正予算では56・8兆円の新経済対策も決定し、需要拡大へ政府・与党は連続して政策を打ち続けている。

 なかでも、総額2兆円の定額給付金は、支給が始まると歓迎の声が相次いだ。景気対策としての役割だけでなく、地域的な所得再分配や政府から家計への資金移転としてとらえる議論もあり、大きな効果があったことは間違いない。

 またエコカー環境対応車)減税はメーカーや車種によっては「5月の国内受注が前年比3割増」「発売から1カ月で月間販売目標1万台のところが、18万台を受注」など、効果が顕在化。高速道路料金引き下げは新たな旅行需要を掘り起こしている。

 このほか、指定の省エネ家電製品を購入した場合、さまざまな商品やサービスと交換できる「エコポイント」をもらえる制度もスタート、新たな家電需要の拡大が期待されている。

 一方、景気底打ちに輸出が果たした役割も大きい。直近の貿易統計(4月分、5月27日発表)によれば、輸出額は依然減少しているものの、大規模な財政出動を行った中国向けを中心に、2カ月連続で減少幅は縮小しており、輸出の持ち直しが明らかになりつつある。欧州ではドイツなどでエコカーへの買い替え助成金が導入されており、自動車輸出も拡大傾向にある。


依然、厳しい雇用情勢


 もちろん、日本経済が回復の兆しを見せ、世界同時経済危機の「最悪期は過ぎ去った」(著名な投資家のジョージ・ソロス氏)とはいえ、楽観は禁物だ。

 月例経済報告でも個人消費公共投資、輸出、生産では明るさが見られる半面、雇用情勢は「急速に悪化しており、厳しい状況にある」と指摘している。息切れしない取り組みで景気回復を実現していきたい。

(公明新聞:6月24日)