貨物法案審議拒否 民主の政局優先に批判

民主党など野党は、参院での麻生太郎首相の問責決議案可決(14日)を理由に審議拒否に入った。このため、衆院を通過したものの参院で審議に入れないでいる北朝鮮関連船舶の貨物検査を可能にする特別措置法案の成立が困難になってきた。政局を優先し、重要法案審議を拒否する民主党の対応に批判が集まっている。


 この法案は、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議に基づき、北朝鮮への核・ミサイル関連物資の輸出入を遮断することが狙い。日本が国内法を整備できなければ、国際社会の一員としての責任放棄となり、「安保理決議の実効性に深刻な影響を与えることになりかねない」(15日付「産経」)。


 そもそも、民主党は「海上保安庁が主体で、特別な場合に海上自衛隊もありうるということなら、それほど反対する立場ではない」(鳩山由紀夫代表)と、法案成立に前向きな姿勢を示していた。にもかかわらず法案成立よりも内閣不信任決議案と問責決議案の提出という政局を優先したのである。こうした対応に「法案に賛成するのが筋」(15日付「読売」)、「国連中心の外交を掲げながら、安保理決議を尊重していない」(同「産経」)と厳しく批判する声が上がっている。

 また、同法案は海上保安庁が実施主体となるが、海上自衛隊の派遣も可能としていることから、「衆院選を前にして、社民党との選挙協力に悪影響が出ることを懸念した」(同「読売」)との見方もある。

 党利党略で国民の安全にかかわる重要法案を放置する民主党に、政権交代を叫ぶ資格はない。
(公明新聞:7月16日)