民主・鳩山代表 偽装献金七つの疑問

逃げずに説明責任果たせ

疑惑が深まるばかりの民主党鳩山由紀夫代表の偽装個人献金問題。国民の8割が「説明が不十分」としているのに、鳩山氏は21日、「2回目の記者会見みたいな考えを今持っているわけではない」と追加説明する必要はないとの考えを示した。果たしてそうか。鳩山氏の偽装献金問題に関する数々の疑問をまとめてみた。


なぜ8割も偽装したのか
巨額個人献金に繰越金と豊富な資金


鳩山氏の資金管理団体の収支報告書は、個人献金者の8割が偽装でした。鳩山氏は“個人献金が少なかったので秘書が独断でやり、自分は知らなかった”と秘書に責任を押し付けています。

ところが、鳩山氏の個人献金は、10年間で5億9000万円と巨額です。しかも、資金管理団体の政治資金は少ないどころか、毎年、繰越金が出るほど余っており、鳩山氏の弁明と矛盾します。

それに、鳩山氏は秘書に直接、その理由を確認していないといわれています。なぜでしょうか。疑問は深まるばかりです。


04年以前にも偽装の疑い
修正で削除した名前が多数記載


鳩山氏が調査をして偽装献金があったと認めた収支報告書は2005年〜08年の4年間分だけですが、04年以前にも偽装があったのではないかとの見方が濃厚です。

与党の調査では、02年〜04年の3年間分に計900万円を超える個人献金の虚偽記載の疑いが指摘されています。また、鳩山氏が虚偽記載をしていたとして05年以降の収支報告書で削除した人物の名前が03年に62人、04年に57人も記載されています。

一刻も早く04年以前も調査し、全ぼうを解明すべきです。


匿名献金に偽装はないのか
3・4億円(10年間)も明示すべき


鳩山氏が10年間に受け取った個人献金5億9000万円のうち、法律上、名前を出す必要のない5万円以下の「匿名献金」は実に約6割、3億4000万円に上ります。国会議員の中で突出しています。

特に、03年の匿名献金は7971万円と巨額。仮に1人当たり4万円献金しても、1年間で約2000人から集めた計算になり、匿名献金の内容に疑問の声が上がっています。

鳩山氏は匿名献金について全く説明していません。すべての収支明細が義務付けられている会計帳簿を早急に公表すべきです。


偽装の原資は裏献金との指摘
寄付の“上限逃れ”の疑念も


偽装献金に流用された約2100万円の出所も不明瞭です。鳩山氏は、秘書に預けていた個人資産だと弁明しますが、鳩山氏の年間所得は2900万円弱。「出所を明かせない裏献金は入っていなかったか」(朝日新聞)との疑念が浮かぶのは当然です。

仮に、鳩山氏個人の金だとしても、寄付上限額(年間1000万円)を超すことになり、小口に分けて“上限逃れ”をしたのではないか、との指摘もあります。

個人資産だと主張するなら、鳩山氏の個人預金の通帳を公表し証明すべきでしょう。


架空献金者に寄付控除の謎
3年間で75人 所得税法違反の疑い


鳩山氏の資金管理団体は、実際には献金していない「架空献金者」に税制上の優遇がある「寄付控除」の証明書の交付申請をしており、法律違反の疑いが指摘されています。架空献金者への証明書交付は、3年間で延べ75人、寄付総額1186万円に上ります。もしこれが寄付控除に使われていれば、所得税法違反に当たる重大な問題です。
証明書は、資金管理団体を通じて個人献金者に郵送されます。架空献金者の証明書はどこにあるのでしょうか。早急な説明が必要です。


修正も誤り。いい加減な調査では
献金した人を削除するお粗末さ


鳩山氏は、資金管理団体の収支報告書を修正して虚偽記載分を削除しましたが、その際、献金した人を削除していたことが明らかになりました。その「宙に浮いた献金」はどこにいったのでしょうか。

修正の虚偽記載もれっきとした「虚偽記載」の罰則対象です。鳩山氏は弁護士に依頼し、約2週間も調査をした上で修正したはず。その修正にも誤りが見つかったのですから、調査の信ぴょう性を疑わざるを得ません。


支部でも“故人献金”発覚
地方議員が同じ日に寄付の不可解さ


鳩山氏が代表を務める「民主党北海道第9区総支部」の収支報告書にも亡くなった人からの“故人献金”があることが分かりました。また、個人献金者は選挙区内の約40人の地方議員ばかりですが、献金日はなぜか同じ日です。

さらに、04年と05年の収支報告書を比べると、献金した地方議員の顔ぶれは違うのに、個人献金総額は100円単位まで同じ金額です(06年もわずか1万円違い)。実に不可解な点です。

支部の収支報告書は疑問だらけです。総支部の収支についても説明を尽くすべきです。
(公明新聞:7月25日)