核廃絶の潮流を日本から

世界平和達成への誓いも新たに

原爆の日


 きょう6日、広島は64回目の「原爆の日」を迎えた。9日には長崎でも、核廃絶の願いを込めて平和の鐘が鳴り響く。世界平和実現への誓いも新たに、「ノー・モア・ヒロシマ」「ノー・モア・ナガサキ」の叫びを広島、長崎から、日本の各地から、世界へと発信していきたい。

 きょう午前、広島市で行われる「平和記念式典」には、過去最高の59カ国から代表が参加する。事実上の核保有国とみなされているイスラエルが初めて出席するほか、国連総会のデスコト議長も出席する予定だ。

 オバマ米大統領が「核兵器のない世界」を目指すと宣言(プラハ宣言)するなど、世界で核廃絶への期待が広がる中、192カ国が加盟する国連総会のトップが、人類史上初の原爆投下の地を訪れる意義は大きい。来春に予定されている核拡散防止条約(NPT)再検討会議の成功に向けた弾みとなることを期待したい。デスコト議長は9日の長崎祈念式典にも出席する。

 原爆投下から64年目の今年、国際社会には核廃絶に向けた新しい風が吹き始めている。

 先月初め、イタリア・ラクイラで開かれた主要国首脳会議(G8サミット)では、オバマ大統領のプラハ演説を受け、「核兵器のない世界」を目指すことが議長総括に盛り込まれた。

 同じく先月初めの米ロ首脳会談でも、両国は戦略核弾頭の上限を1500〜1675発とすることなどで合意。年末に失効する第1次戦略兵器削減条約(START1)に代わる新たな米ロ核軍縮の枠組みが見えてきた。核保有2大国が共同歩調を取ることで、北朝鮮やイランの核問題解決にも光明が見えてくると期待される。

 「冷戦後・後」とも称される国際構造の変容が進む中、新たな安全保障の国際公共政策の形成を目指す動きも芽生えている。小国連合としての「東南アジア諸国連合」(ASEAN)が主導する「安全保障共同体」構想もそのひとつだ。「東南アジア非核兵器地帯条約」などをテコにした平和志向の新秩序が、大国を包み込む形でこの地域に創生されつつある。

 核の問題とも深くかかわる「人間の安全保障」の考え方が、21世紀の地球社会を貫く新理念として国際社会に定着しつつあることにも注目したい。

 唯一の被爆国・日本はこうした動きに敏感に反応し、核廃絶への潮流を主導していかねばならない。毎年めぐり来る「原爆の日」は、その責務を自覚し、決意を新たにする日でもある。


「行動する平和主義」


 折しも、今年の広島、長崎の「原爆の日」は、衆院解散中に迎えることとなった。

 公明党マニフェストに「行動する国際平和主義」を掲げ、具体的行動で非核世界を目指すことを誓っている。空想的な平和論をかざすだけの共産党や、安保・外交政策でブレ続ける民主党に、平和への舵取りを任すわけにはいかないことを、この際、改めて確認しておきたい。
(公明新聞:8月6日)