国際標準の保障をめざす

身近で頼れる司法制度の構築も

人権尊重の社会へ


 犯罪を裁く刑事裁判に、犯罪被害者やその遺族が参加できる「被害者参加制度」が昨年(2008年)12月からスタートした。これは犯罪被害者の長年の夢であった。

 また、抽選で選ばれた一般国民が裁判員となって、プロの裁判官と一緒に犯罪を裁く裁判員制度も5月に施行され、全国初の裁判員裁判は今月3日から4日間、東京地裁で行われた。

 さらに、国の行政のあり方を、生産者本位から消費者本位に転換させることによって、消費者の権利を守るための消費者庁も今秋発足に向けて準備が進んでいる。

 これらは、日本の人権保障を国際標準に引き上げるために欠かせない政策である。

 被害者参加制度は1985年に国連総会で採択された「国連被害者人権宣言」の具体化であり、裁判員制度は先進民主国家では当然視されている「国民の司法参加制度」の導入である。また、消費者政策は国境を超えたグローバルな取り組みが期待される分野となっている。

 公明党はこれらの政策の実現に向け全力で取り組んできた。そして、衆院選に向けて発表した公明党の「マニフェスト2009」には、人権保障のさらなる国際標準化をめざすさまざまな政策を掲げている。

 中でも、国際人権B規約(自由権規約)の議定書が定める「個人通報制度」への加入は早期に実現させたい。日本は79年に自由権規約を批准しながら、議定書は批准していない。

 「個人通報制度」は、人権侵害を受けた被害者が、裁判を提起するなど国内の人権救済手段を尽くしてもなお、人権侵害が回復されないと考えた場合、個人の資格で、国連の自由権規約委員会にその人権侵害を報告し、審査を求めることができる制度である。すでに国際社会に定着しており、人権国家としてこれ以上の放置は許されない。

 また、犯罪被害者の権利保障に関して国際社会で議論が進んでいる、犯罪者の“逃げ得”を認めるに等しい「公訴時効」の見直しも掲げた。すでに公明党法務省とも意見交換を進めており、7月には法務省の勉強会が、殺人など重罪について公訴時効を廃止するとの報告書を公表した。これは国際標準の考え方として高く評価できる。


民主超える豊富な政策


 人権保障に欠かせないのが司法制度である。

 公明党マニフェストに「国民の身近で頼りがいのある司法の実現」として、(1)法曹を養成する法科大学院の質向上と、修了者が法曹以外のコースにも進めるよう職域を拡大(2)弁護士がゼロか1人しかいない地域の解消(3)国民の司法への窓口である法テラスで活躍するスタッフ弁護士の大幅増員(4)不正な行政をただすための、より国民に開かれた行政訴訟制度の創設――などを掲げた。こうした施策のメニューの豊富さは、民主党マニフェストには見られない。

 公明党は、平和と繁栄の基礎である人権を守る第一線に立つ決意である。
(公明新聞:8月7日)