紛争防止へ積極的な行動を

核兵器と向き合い、廃絶めざそう

終戦記念日


 平和を誓う8月15日「終戦記念日」がめぐってきた。今年で64回目となる。

 戦争の世紀とも、大量殺りくの世紀とも言われた20世紀の中でも最大の犠牲者を出した第2次世界大戦――この悲劇を私たちは二度と繰り返してはならないし、この歴史を風化させてもならない。犠牲者に謹んで哀悼の意を表すとともに、平和への新たな決意を固めたい。

 日本が敗戦を決意した直接の原因は、1945年8月9日のソ連による対日参戦であったといわれる。科学的知識の乏しい当時の指導者たちは、同じ9日に起こった長崎への原爆投下、3日前の広島への原爆投下よりも、日ソ中立条約が破棄されたという事態の方を深刻な脅威と感じたのであろうか。

 しかし、歴史を大局的に見たとき、第2次世界大戦を終わらせ、同時に、世界を新たな恐怖の時代に引き込んだのは、核兵器であったことは論じるまでもない。したがって、私たちの不戦の決意は、同時に、非核を誓う決意でなければならない。

 その意味で、今年の終戦記念日は歴史的な意義をとどめる日になった。なぜなら、ヒロシマナガサキに原爆を投下した米国のオバマ大統領が、64年目にして初めて核兵器を実際に使用した唯一の核保有国としての道義的責任に言及し、核廃絶を目標に掲げ、それを世界に宣言したからである。さらに、評価したいことは、核超大国である米国とロシアが、核弾頭の削減交渉を実らせて「原爆の日」の8月を迎えたことである。

 1989年に東西冷戦が終結して以降も、冷戦期同様に「核兵器があるから平和が保たれる」とする核抑止論が生き続けている。しかし、核テロが現実味を帯びてきた現在、ついに、米国の現実主義者の中からも「核のない世界」をつくる以外に核の脅威から自由になる方法はないとの考えが生まれてきた。


「人間の安保」で貢献


 「核のない世界」のためには、核軍縮の大幅推進、核拡散防止条約(NPT)や核兵器の材料となる核分裂性物質の生産禁止など核封じ込め体制の構築、さらに、核兵器を非合法化する規範の確立が必要である。また、日本も含め、自国の安全保障を核保有国の「核の傘」に依存している国々が、核廃絶という共通目標の下で、核と正面から向き合って対話を進める必要もある。

 さらに、核など大量破壊兵器の出番をなくすためには、「武力紛争のない世界」に向けた努力も不可欠である。

 大国間の全面戦争の脅威がほぼなくなった現在、最も重要なことは、内戦や地域紛争の火種を消すことである。また、テロリストの温床となる貧困や構造的暴力と闘うことである。

 そのために必要な“武器”こそ日本が得意分野とする「人間の安全保障」分野の支援であり、平和構築活動による国際貢献である。公明党は、核廃絶と紛争防止に積極的に行動する。
(公明新聞:8月15日)