鳩山政権 多難な船出<上>

政権内に対立の“火種”
予算、外交・安保で混乱の恐れ

16日に発足した民主、社民、国民新党の3党連立による鳩山内閣だが、「多くの国民の期待と不安が交錯する中での出発」(読売)と指摘され、新政権の前途は難題が山積している。

 非自民の細川連立政権以来、16年ぶりの政権交代となったが、内閣の顔触れを見ると、連立3党の党首、民主党の歴代代表が入閣する一方で、「党内の序列や勢力のバランスへの配慮もうかがえ、自民党時代と変わらぬ旧来型人事の色彩がにじんでいる」(日経)との印象も否めない。

 また、民主党の「次の内閣」の大半のメンバーの入閣が見送られ、「『次の』という言葉が、『政権交代までの』という意味であったことを知り、とても驚かされた」(共同通信=高瀬淳一・名古屋外国語大学大学院教授)との声も上がる。

 その新内閣が早急に取り組まなければならない課題が、見直しを主張する今年度補正予算への対応と来年度の予算編成だ。

 ところが、予算編成の基本方針などを策定する国家戦略局(室)は、「権限は不明確で、混乱が生じる恐れ」(日経)が指摘されている。実際、その権限をめぐっては、菅直人国家戦略担当相と藤井裕久財務相との間で「早くも主導権争いの芽」(毎日)まで生じているという。

 しかも、連立相手から「3党が戦略局の中に存在することは、政権の据わりの面から見ても大事」(社民党幹事長)と、戦略局の民主党単独運営に反対の声が出ており、今後、連立政権の“火種”になる恐れがある。

 また、鳩山由紀夫首相は補正予算の一部執行停止を18日に閣議決定する方針を示したが、「関係する自治体や企業も多く、場合によっては景気の足を引っ張る」(産経)ことになりかねず、マスコミからも慎重な対応を求める声が上がっている。

 一方、3党連立政権の“アキレスけん”とされる外交・安全保障政策についても、「外交・安保政策などで開きがある社民、国民新両党と連立を組んだことが新政権の不安材料」(日経)といった懸念が依然として根強い。

 加えて、日米同盟を基軸にするとしながら「対等な関係」を強調する岡田克也外相にも「不安感が残る」(産経)と心配されている。

 政権内の不協和音が今後、大きくなるようなことになれば、景気や外交などへの対応のまずさとなって表れ、国民生活に悪影響を及ぼし国益を損ないかねない。

 「新政権の誤りないかじ取り」(公明党山口那津男代表)が求められている。
(公明新聞:9月18日)