迫る地デジ移行 現状と課題<上>

負担軽減策に期待
経済弱者に無償チューナーも
公明が推進

2011年7月24日に迫ったテレビの地上アナログ放送から地上デジタル(地デジ)放送への完全移行。残り2年を切る中、地デジ普及を取り巻く現状と課題をまとめてみた。


 そもそも、なぜ地デジに移行するのか。その背景には電波の使い過ぎがある。電波は無限に使えず、利用できる“枠”がある。山間部が多い地理的特徴に携帯電話の普及が重なり、日本の電波は隙間のないほど過密だ。


 デジタルに移行すれば、電波利用の効率性がアナログと比べて格段に良くなり、「テレビ対応電波の35%が節約できる」(総務省)。節約分で、交差点に進入する対向車を事前に知らせる交通情報システムや防災情報の強化など、国民生活向上につながる分野で電波を有効利用する。


世帯普及率6割


 政府はメディア媒体を通じPR活動を積極的に展開してきた。その結果、総務省の調査(3月実施)で、地デジ完全移行を知っていると回答した人は97.6%に上るほど、認知されてきた。一方、地デジ対応のテレビやチューナーなどの受信機器をすでに持っていると答えた世帯は60.7%。順調な推移との見方もあるが、消費者には新たな費用負担を懸念する声もある。


 地デジを見るには、主に(1)地デジ対応テレビを購入(2)地デジチューナーを購入しアナログテレビに接続(3)地元ケーブルテレビに加入し地デジ対応チューナーなどを入手――といった方法がある。(1)(2)には、地デジ受信に必要なUHFアンテナも用意しなければならない。電波が届きやすいかどうかという地域の特性などによるが、機器の購入・設置を含め計数万円かかる場合もある。


公明の提言


 公明党は、06年11月から07年1月にかけ、視聴者の負担軽減を求める署名活動を展開。地デジチューナーの廉価化や経済弱者を対象とした簡易チューナーの無償配布などを強く求めてきた。


 これを受け、総務省は各メーカーに安価な簡易チューナーの開発を要請。9月中旬には5000円を切る低価格チューナーが店頭に並び始めた。さらに同省は、生活保護世帯などでNHK受信料が全額免除となっている世帯(最大260万世帯)を対象に、簡易チューナーの無償配布を決定。10月1日から申請受け付けを始める。


エコポイント効果


 さらに、公明党が推進し実現した「エコポイント」も効果が。環境省などのまとめでは、7〜8月のエコポイント申請受け付け件数約150万件のうち、地デジ対応テレビの申請は44万6604件。出荷台数でも前年同月比で、7月が約27%、8月が約31%と増えている(JEITA調べ)。


簡易チューナーの無償配布


 支給対象者は12月28日までに総務省地デジチューナー支援実施センター(0570―033840)に申請が必要。受け付け時間は平日午前9時〜午後9時(土・日・祝日は午後6時)まで。
(公明新聞:9月29日)