出産一時金 42万円に

支給方法改善 妊産婦らの負担軽減


出産の際、国民健康保険国保)や協会けんぽなど医療保険から支払われる「出産育児一時金」が、きょう10月1日から従来の38万円から4万円上乗せされ、42万円に拡充される。妊産婦らの経済的負担が軽減され、子どもを望む世帯には朗報だ。


 従来の制度は、妊産婦ら親が、高額な出産費用を先に医療機関に支払い、その後、医療保険から一時金を受け取る煩雑な仕組みだった。きょうから始まる新制度は、妊産婦らが出産費用を立て替える必要をなくし、医療保険から医療機関に直接支払うようにした。


 また、出産費用が42万円未満、例えば41万円で安く収まった場合、その差額の1万円は妊産婦らが医療保険に請求すれば受け取ることができる。


 42万円支給の対象は2009年10月1日以降に出産した人。今回の引き上げは2011年3月末までの措置で、同年4月以降は改めて対応を検討することになる。


 公明党少子化対策の一環として、出産育児一時金の増額を一貫して主張。国会質問や政府への申し入れを重ねてきた。


 一方、長妻昭厚生労働相は9月29日、出産育児一時金の新たな支給方法について、対応が困難な医療機関への適用は半年間猶予すると発表。医療機関への支払いが出産から約2カ月かかることが判明し、中小の医療機関から資金繰りに支障を来す恐れがあると懸念が示されていたための措置。


 政府は、新制度に対応できない医療機関に入院・通院している妊産婦らについて、経済的な負担が軽減されるような対策を早急に講じるべきだ。


政府は直接支払い支援を
渡辺孝男・党厚労部会長


 10月1日から全国一律で直接支払制度を実施できないことは誠に残念だ。国民の皆さまに不平等が生じ、不安や動揺が広がっているので、政府は速やかな改善を行うべきだ。


 医療機関においては、できる限り直接支払いが可能になるよう、さらなる努力をしていただきたい。経営安定支援のための融資制度もある。政府は同制度の活用促進とともに利子を低減し、直接支払いが可能となるよう支援すべきだ。


 また、出産費用を工面できない国民向けの貸付制度もあり、政府は手続きの迅速化や利子の減免などを考える必要がある。


 さらに、制度自体が2年間の暫定措置なので、保険者の理解を得て恒久化していく必要がある。
(公明新聞:10月1日)