出産一時金の支援延期の支援延期

「生活者重視」に疑問噴出

「10月から出産費用の立て替え払いがなくなるはずだったのではないの!?」――。妊産婦や家族からは、こんな声が聞こえてきそうだ。


 今月1日から出産育児一時金(38万円から42万円に拡充)の支払い方法が、公的医療保険から医療機関に直接支払う制度となった。従来は、親が高額な出産費用を立て替えた後、医療保険から一時金を受け取る仕組みだったが、新制度導入によって、まとまった出産費用を事前に用意する必要がなくなることから、子どもを望む家庭からは大きな期待を集めていた。


 ところが、長妻昭厚生労働相は新制度スタート直前の先月29日の記者会見で、一時金の新たな支払制度について、対応が困難な中小の医療機関などへの適用を半年間先送りすると発表した。医療機関への支払いが出産から2カ月程度かかることから、「当面の資金繰りなどの準備が整わない医療機関から不満が噴出」(2日付 朝日)したことが主な理由のようだ。


 今回の発表により、最も大きな影響を受けるのは妊産婦や家族だ。会見では、記者からも「突然に肩代わりを求められる妊婦さんへの手当ては」「利用者にとっては戸惑う声も出てくると思うが」など、厚労相に厳しい質問が浴びせられた。


 「新政権は『生活者重視』を掲げているのに、誰のための政策なのか」(同)と、新政権の政治姿勢への疑問が噴出している。政府は全国一律の直接支払制度の実施へ、早急に対策を講じるべきだ。
(公明新聞:10月3日)