子育て手当支給停止 混乱、失望招き拙速

難病支援、遡及して施行せよ
記者会見で山口代表

公明党山口那津男代表は15日昼、党本部で記者会見し、政府が今年度補正予算の見直しで、「子育て応援特別手当」の支給停止を決めたことを厳しく批判するなど、政治課題について、大要、次のような見解を述べた。


 【子育て応援特別手当】


 一、公明党が強力に推進し、補正予算で事務費を含め1254億円の予算を盛り込んだもので、対象者は330万人。幼児教育の無償化に結び付けるため、2カ年度にわたって連続的に行う位置づけだった。政府が一方的に破棄するのは、(対象者の)期待を裏切り、踏みにじる措置と言わざるを得ない。


 多くの自治体では、すでに具体的手続きを決めており、DV(配偶者などからの暴力)被害者に対しては、事前申請で受け付けを始めた自治体もある。政府の対応は、自治体の混乱や国民の失望につながり、いささか唐突、拙速だ。


 一、公明党としては、どういう理由で政策を変更するのか説明してもらいたい。仙谷由人行政刷新相が「公明党がやったものだから止めればいい」と押し返したという一部報道がある。公明党が決めたかどうかで、執行停止の判断基準にするということだとしたら、いかがなものか。


 そのほか(補正予算の)執行停止による需給ギャップが生じる可能性もある。景気の失速を招いたり、二番底といわれる事態を招くならば、政府の責任は免れないと懸念している。


 【難病支援】


 一、補正予算では、難病のうち11疾患を特定疾患に追加指定し、医療費助成措置を実施することを前政権で合意している。本来は10月1日施行の予定だったが先送りになっている。早くさかのぼって施行すべきだ。


 【来年度予算】


 一、(概算要求が過去最大に上る見通しについて)税収が限られている中で、国債発行額が増えることが懸念される。(民主党は)衆院選挙前、国債の発行を抑制し、増発しないと言っていたが、その考え方と整合性があるのか。最終的な予算は、来年度以降の財政状況も踏まえ、後世代に大きなツケを加算する結果を招かない配慮が必要だ。経済状況も厳しく、再度の底割れを防ぐ視点も欠かせない。


 【給油活動】


 一、(インド洋での給油活動を継続する必要性について)一定の評価も、効果もあり、継続すべきだと考えている。政府の対応が確定的になったかどうかは定かでないが、外交、安全保障にかかわることは、政府内で意思統一することを求めたい。


 一、(自民党臨時国会で延長法案を提出する意向を示していることについて)議論の機会、論点を提示する意味で法案を出すのはあり得べきことだ。
(公明新聞:10月16日)


子育て応援特別手当については、弥富市でも9月議会において補正予算が組まれ、全会一致で可決しておりました。行政も申請準備に取り掛かっている最中の執行停止です。何よりも支給を待たれている対象世帯の方々を思うと、残念でなりません。恒久的な財源が不明確な「子供手当て」も、公明党が推進してきた児童手当の流れを汲んでいくものであれば、財源のとり方によっては国民も納得するところですが、なんせ執行停止の理由が以下の記事にあるように「公明党の推進した施策だから」というのだから驚きだ。どこまでも政局なんですね、現政権は。

「公明の政策だから停止」看過できぬ仙谷発言


鳩山政権は2009年度補正予算に盛り込まれた「子育て応援特別手当」を支給しないことを決めたが、同手当の執行停止に関する仙谷由人行政刷新相の発言は、事実だとすれば看過できない。


 報道によれば、補正予算削減の上積みをめざす仙谷氏は13日、子育て応援手当について「公明党がやったものだから止めればいい」(15日付「朝日」)と執行停止を求めたという。


 一般的に、「総選挙前に正規の手順を経て成立した今年度補正予算は、その時点での民意を反映しているものである。価値観の相違はあろうとも、新政権に不要不急と決めつけられる筋合いのものではない」(吉田経済産業ラボ代表・吉田春樹氏=14日付「日経」夕刊)。先の総選挙で政権交代したとはいえ、有権者民主党マニフェストの個々の政策を全面的に支持したわけではない。


 補正予算という形で、予算措置がとられている以上、それは政府(国)と国民の約束事ということであるから、前政権の政策を転換するというのであれば、国民にその理由を説明すべきは当然だろう。それを突然の執行停止というのでは国民との契約を国が一方的に破棄するのに等しい。


 さらに問題なのは、「公明党がやったものだから……」の仙谷発言には、“民主党がやるものはいいが、それ以外の政党が主導したものは認めない”と言わんばかりの独善臭がすることだ。


 政策の適否は「国民のためにどうなのか」という基準で判断されるべきであり、どの政党が主導したかは、この場合、国民には関係ない。


 口で「国民が主役」と言いながら、その実、政略的に子育て手当を扱う手法は民主党のおごり以外の何ものでもない。
(公明新聞:10月16日)